宮崎県議会 > 2017-09-13 >
09月13日-02号

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  1. 宮崎県議会 2017-09-13
    09月13日-02号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    平成29年 9月定例会平成29年9月13日(水曜日)  午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(36名)    1番  有 岡 浩 一  (郷中の会)    2番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  渡 辺   創  (県民連合宮崎)    5番  岩 切 達 哉  (  同  )    6番  後 藤 哲 朗  (宮崎県議会自由民主党)    7番  右 松 隆 央  (  同   )    8番  二 見 康 之  (  同  )    9番  日 高 博 之  (  同  )   10番  日 高 博 之  (  同  )   11番  野 﨑 幸 士  (  同  )   13番  蓬 原 正 三  (  同  )   14番  西 村   賢  (自由民主党 青の国)   15番  図 師 博 規  (愛みやざき)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  髙 橋   透  (県民連合宮崎)   19番  徳 重 忠 夫  (宮崎県議会自由民主党)   20番  丸 山 裕次郎  (  同  )   21番  中 野 一 則  (  同  )   22番  中 野 広 明  (  同  )   23番  松 村 悟 郎  (  同   )   24番  外 山   衛  (  同  )   25番  濵 砂   守  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  新 見 昌 安  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  緒 嶋 雅 晃  (宮崎県議会自由民主党)   33番  清 山 知 憲  (  同  )   34番  宮 原 義 久  (  同   )   35番  山 下 博 三  (  同   )   36番  坂 口 博 美  (  同  )   37番  星 原   透  (  同  )   38番  井 本 英 雄  (  同   )   39番  横 田 照 夫  (  同  )  欠 席 議 員(1名)   16番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣   副  知  事   郡 司 行 敏     副  知  事   鎌 原 宜 文     総合政策 部長   日 隈 俊 郎   総 務 部 長   桑 山 秀 彦   危機管理統括監   田 中 保 通   福祉保健 部長   畑 山 栄 介   環境森林 部長   川 野 美奈子   商工観光労働部長  中 田 哲 朗   農政水産 部長   大 坪 篤 史   県土整備 部長   東   憲之介   会 計 管理者   福 嶋 幸 徳   企 業 局 長   図 師 雄 一   病 院 局 長   土 持 正 弘   財 政 課 長   川 畑 充 代   教  育  長   四 本   孝   警 察 本部長   郷 治 知 道   代表監査 委員   高 橋   博   人事委員会事務局長 原 田 幸 二  ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   甲 斐 正 文   事務局 次 長   上 山 伸 二   議 事 課 長   長 倉 健 一   政策調査 課長   谷 口 浩太郎   議事課長 補佐   濱 﨑 俊 一   議事担当 主幹   山 口 修 三   議事課 主 査   沼 口 恭一郎   議事課主任主事   森 本 征 明 ──────────────────── △議席の一部変更 ○議長(蓬原正三) これより本日の会議を開きます。 この際、議席の一部を変更いたします。 各議員の議席は、会議規則第5条第1項の規定により、ただいま御着席のとおり指定いたします。──────────────────── △代表質問 ○議長(蓬原正三) 本日の日程は代表質問であります。 ただいまから代表質問に入ります。 質問についての取り扱いは、お手元に配付の代表質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、宮崎県議会自由民主党山下博三議員。 ◆(山下博三議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。県議会自由民主党の山下博三です。2回目の代表質問になりますが、今回も地元からたくさんの応援においでいただきました。ありがとうございます。 それでは早速、質問に入らせていただきます。 まず、知事の政治姿勢についてお伺いをしてまいります。 第11回全国和牛能力共進会宮城大会において、我が宮崎県は、9部門中3部門が優等賞首席、3部門が優等賞2席、1部門が優等賞3席という成績に輝き、特に種牛の部第7区の、種牛と肉牛の両面から和牛の改良を総合的に評価し、「花の7区」と呼ばれる総合評価群においては、3大会連続で優等賞首席を獲得、さらに、肉牛の部第8区では日本一となる内閣総理大臣賞を受賞し、史上初となる3大会連続大臣賞を獲得するなど、すばらしい成績をおさめられました。まことにおめでとうございます。この成果は、まさに宮崎牛日本一3連覇であります。県を初め、JA、関係団体等の皆様の今日までの努力と御苦労に、心より感謝を申し上げます。 私を初め、正副議長、同僚議員多数で、各区の審査と順位決定、表彰式、優勝牛の展示に参加してまいりました。県内からも、知事、郡司副知事を初め、多くの県関係者、JA、団体、御家族を含め、全国でも一番の参加者だったと思っております。鳥取、長崎大会に引き続き宮城大会においても、あの感動、ドラマに立ち会えたことの感謝と、出品者の皆様はもとより、厳しい審査を勝ち抜き、見事栄誉をかち取った出品牛たちに、改めて敬意を表したいと思います。 各出品者の御苦労については、これまでの「日本一の努力と準備」のテーマで、宮崎日日新聞の3期にわたる特集の中で詳しく紹介をされておりました。7月7日に行われた県代表牛の決定審査以降、私も出品者の方とお話しする機会がありましたが、皆さんが言われたのは、県代表牛となった後のプレッシャーたるやすさまじいとのことでありました。「自分の飼育管理によってみんなに迷惑をかけてはいけない。セットものであれば、他の出品者の足を引っ張ってはいけない」という思いとの戦いであったということであります。今回の大会は、都農町から3区に出品された河野久徳さんが言われたように、平成22年の口蹄疫により未曽有の被害を受けた本県畜産が完全復活を宣言するものであり、宮崎の底力を全国に見せつけた大会でありました。 さて、これまで全共3連覇を至上命題として、県だけでなく関係団体と幅広く連携し、輝かしい成績をおさめることができた今回の全共を、知事はどのように総括しておられるのかお伺いをいたします。 次に、平成38年開催の第81回国民体育大会と第26回全国障害者スポーツ大会についてお伺いをいたします。 我が国最大のスポーツの祭典、国民体育大会の2巡目の開催まであと9年となりました。前回、昭和54年第34回大会では、「伸びる心、伸びる力、伸びる郷土」をスローガンに、県民総参加で選手団の活躍と大会の運営を支え、その後、明るく豊かな宮崎を築く原点となりました。私ども県議会も平成27年3月に両大会の招致を決議し、同年7月には公益財団法人日本体育協会から国体開催の内々定をいただいたところであります。前回の国体開催に際しては、県総合運動公園や県体育館などさまざまな関連施設が宮崎市を中心に整備され、それが今日の「スポーツランドみやざき」の基盤となっております。あれから40年近くたつ中で、大型箱物施設については老朽化が目立ち、次期国体での活用がままならない状況となっており、整備を行うことになりました。これまでに、宮崎市、都城市、延岡市並びに競技団体等から、県有主要3施設の整備に関する要望もなされておりますが、選手の利用や大会後の活用、利便性はもとより、防災面あるいは地域振興への貢献など、実にさまざまな立場からの課題や要望であります。 このような中で、本年6月の総務政策並びに文教警察企業常任委員会において示された試算を見ると、陸上競技場を新たに整備する場合、競技場だけで120~130億円、体育館が70億円、プールが30~50億円となっており、本県にとっては大きな投資であります。こうした問題が複雑に絡んでいる中で、最も重要なのは、次の時代に向けて何を残すかであると思いますが、知事は今議会の開会に当たり、スポーツランドみやざきの全県展開に資するよう、県北・県西地域への施設設置を含め整備を進めることとしたいと表明されました。大変大きな判断であると私は感じておりますが、このような判断をされた知事の思い、考え方についてお伺いをいたします。 次に、県警本部長にお伺いをいたします。9月4日の人事異動により、宮崎県警察本部長として郷治知道本部長が着任をされました。九州での勤務は宮崎県が初めてとお聞きしております。現在、県警では「県民の期待と信頼に応える強くしなやかな警察」という基本方針を掲げ、県民が安全で安心して暮らせる宮崎を目指して、積極的な警察活動を推進しておられます。郷治本部長は警察庁の運転免許課長等の要職を歴任され、今回、警察本部長という本県の治安維持の最高責任者となられました。また、着任式において職員に対して、「県の治安維持と県民の安全・安心の確保に向けて精いっぱい力を尽くしていきたい」と訓示されております。そこで、着任直後の意気込み、決意をお聞かせいただければと思います。 以下、質問者席より行ってまいります。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 まず、全国和牛能力共進会の総括についてお答えします。9月7日から11日まで開催をされました第11回全国和牛能力共進会宮城大会につきましては、県議会の皆様に多大なる御支援を賜り、厚く御礼を申し上げます。現地では、原議長を初め、横田副議長、山下議員ほか多数の議員の皆様の御出席を賜り、また、出品された農家や関係者の皆様に対し、温かい激励の言葉や力のこもった応援をいただきまして、心より感謝を申し上げます。 今回の全共は、全ての県が打倒宮崎で向かってくる中、1,000数百キロメートル離れた東北での開催という地理的ハンデや、口蹄疫終息後に造成をした新しい種雄牛の体制で臨むなど、大変厳しい条件の中での大会となりました。その結果、我々が目指した完全勝利した形での全共3連覇とはなりませんでしたが、本県は、9部門中3部門で優等賞首席を獲得するとともに、内閣総理大臣賞の3大会連続受賞によります、史上初の3連覇をなし遂げるなど、真の意味での口蹄疫からの復興と日本一宮崎牛の真価を全国に示すことができたものと考えております。このことは、出品者はもちろん、予選で競い合った方々や、地域を挙げて、また県を挙げて支えていただいた多くの関係者の努力のたまものであり、「日本一の努力と準備」を合い言葉に、多くの県民の皆様からの御声援を受け、まさにチーム宮崎の結束力で達成をした成果であると、深く感謝申し上げるところであります。 さらに、並みいる強豪との戦いで全国5位に食い込んだ小林秀峰高校や、出品牛について日本一の評価を得た高鍋農業高校など、高校生を初めとする後継者の活躍には、本県肉用牛の将来を担う若い力が確実に育っているものと、非常に心強く感じたところであります。今後5年間、引き続き日本一を名乗る県といたしまして、「全国の和牛生産をリードする」との気概を持って、宮崎牛のさらなるブランド確立と本県畜産業の活性化に努め、本県全体の振興及び活性化に努めてまいりたいと考えております。 次に、2巡目国体に向けた施設整備の考え方についてであります。9年後の国民体育大会及び全国障害者スポーツ大会に向けた施設整備は、将来への大きな投資となるものであります。地域振興の視点も含め、国体後を見据えた総合的な判断が必要となるものと考えております。競技団体や市町村など、さまざまな立場から、さまざまな観点に基づく御意見をいただいておりまして、大変難しい問題でありますが、熟慮を重ね、私といたしましては、人口減少時代を迎え、地方創生が全国的な課題となる中で、今回の整備を契機として、さらなる全県的なスポーツの振興、地域の振興につなげていきたいとの思いに至ったところであります。このようなことから、陸上競技場は都城市、体育館は延岡市、プールは宮崎市に整備をし、地元市との連携のもとスポーツの拠点づくりを進めますとともに、県総合運動公園についても、さらなる整備・充実や津波避難対策を講じるなど、既存施設も十分活用しながら、スポーツランドみやざきの全県的な展開を図ってまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◎警察本部長(郷治知道君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 宮崎県は、温暖な気候と自然環境に恵まれ、人情味豊かな土地柄と伺っております。この地で勤務できることを大変光栄に思いますとともに、本県の治安維持の責任者としての重責に身の引き締まる思いでおります。 県警察の運営につきましては、野口前本部長の取り組みを受け継ぎながら、運営方針であります「県民の期待と信頼に応える強くしなやかな警察」を基本とし、宮崎県の治安維持と県民の皆様の安全・安心の確保に向けて、全職員が一致団結し、組織の総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。あわせまして、誠心誠意、県民の皆様の信頼に応えるべく努力してまいりますので、警察活動に対する一層の御理解と御支援を賜りますようお願い申し上げます。以上であります。〔降壇〕 ◆(山下博三議員) それぞれの答弁、ありがとうございました。 引き続き、宮崎牛の販売戦略についてお伺いをしてまいります。今回の全共に向け、本県は、全国有数の肉用牛県として全共3連覇を目指し、出品者及び関係者がチーム宮崎として対策に取り組み、万全の体制で臨まれたわけでありますが、僅差で優等賞首席を逃した部門もありました。肉用牛県を自負する本県は、今回の全共の課題を整理・分析し、十分な対策のもと、5年後の鹿児島全共に臨んでいただきたいと思います。 次に、日本一宮崎牛の今後の取り組みについてお伺いしてまいります。平成20年は鳥取全共で初めて日本一になった翌年ですが、日経リサーチ国産ブランド牛肉総合評価ランキング調査によりますと、国内有名ブランド牛と呼ばれる松阪牛や神戸ビーフ、米沢牛等が上位を占め、宮崎牛は第6位の位置づけでしたが、その後のブランド力強化の取り組みや、24年の全共日本一2連覇による各種PRやプロモーション活動等の効果もあり、日本一2連覇から3年後の27年の調査では、松阪牛、神戸ビーフに続く第3位の位置に向上しました。 一方、松阪牛や神戸ビーフのブランド牛の生産地である三重県と兵庫県でのそれぞれの飼養頭数を本県と比較してみますと、繁殖雌牛は、本県では8万600頭飼育されており、三重県が本県の約60分の1、兵庫県が本県の約5分の1という状況です。また、肉用種の肥育用牛は、本県では8万1,200頭飼育されており、三重県が本県の約4分の1、兵庫県が本県の約5分の1で、いずれも本県が大きく差をつけて、生産基盤の違いは歴然であります。国内の有名銘柄牛産地の多くが、他県から子牛を導入し銘柄牛に育てるという方式が主流の中、子牛から肥育まで県内で一貫生産する宮崎牛づくりは、本県の大きな特徴であるし、生産基盤の強さだと思います。今や押しも押されもせぬ和牛ブランドとして確立された宮崎牛ですが、今回の全共での肉牛の部日本一、史上初の3大会連続内閣総理大臣賞獲得で、真の日本一ブランド牛と全国の皆様に認識されるものと考えております。そこで、松阪牛、神戸牛を追い越す力ができたと思いますが、知事の決意についてお伺いをいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回の全共では、特に肉牛日本一というタイトルを得ることができた、大変大きいものがあるというふうに考えております。特に審査基準の中でも、うまみ成分をこれまで以上に重視して評価がなされた。これは消費者に対しても大変アピールをしやすい内容であろうかと思います。この称号というものを最大限に活用し、全共を契機とした国内外への販売促進や、2020年の東京オリンピックパラリンピック等へ向けた積極的なPRを展開してまいりたいと考えております。具体的には、首都圏を初めとしました県外でのPRやフェアの実施、メディア等を活用したさまざまな場面での積極的なPR、さらには、台湾やEU等への輸出促進による取引量の拡大など、さらなる販路拡大と認知度向上を図ることとしております。全共の閉会式が終わりました後、台湾とシンガポールのメディアからの取材を受けたところでありまして、海外からの注目も大変高いなということを実感しております。 県内の繁殖雌牛の頭数が2年連続で増加をするなど、今後に向けた明るい状況もありますので、全国トップクラスの、また全国をリードする和牛県としまして、安定した品質と量の宮崎牛を供給するための取り組みを強化し、盤石な生産体制の構築にも取り組んでまいりたいと考えております。今後、日本一3連覇を達成しました宮崎牛が、名実ともに和牛を代表する日本のトップブランドとなるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。 今回の全共での肉牛の部日本一により、宮崎県は今後さらに5年にわたり、肉牛の日本一の称号を利用できるばかりでなく、世界に対しても日本一の宮崎牛として強くアピールできるものと思っております。今回の肉牛日本一を受けて、この栄誉をいよいよ、名誉だけでなく実利に向けて生かしていかなければなりません。今後の宮崎牛を核とした農畜産物の販売戦略と目指すべき効果について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 今後の農畜産物の国内外への販路拡大に当たりましては、肉牛日本一の称号を最大限に活用していくことが重要であると考えております。そのため、例えば首都圏等での総合フェアやトップセールスにおきまして、日本一の宮崎牛を核としまして、出荷量日本一のキュウリやキンカン、スイートピー、ブロイラー、さらには漁獲量日本一近海一本釣りカツオなど、「日本一」というものをキーワードに、本県のすぐれた野菜や畜産物、水産物や加工品等を販売していくことなどが考えられます。県としましては、関係機関等と一体となって、宮崎牛を初めとした食の宝庫宮崎のさらなる認知度向上に努め、有利な販売につなげてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。本県は、海外輸出拠点として新たに、ミヤチク、チキンフーズ合わせて200億ほど投資して輸出対策の整備がなされております。史上初の3大会連続内閣総理大臣賞でありますから、実績を最大限生かしていただきたいと思います。知事の答弁にもありましたが、台湾も今度解禁になりました。東南アジア初め、EU、アメリカ、輸出戦略をしっかりとやっていただくとありがたいと思っております。 全共において、今大会から高校の部が新設され、本県からは高鍋農業高校が出場しました。高校の部の創設趣旨の一つに、若い人たちの力を見ていただくことで、復興特別区である宮城県の震災からの復興を発信していくということがあります。口蹄疫で家畜が全頭殺処分された高鍋農業高校、さらに、県の代表牛に高校生が育てた牛として初めて選ばれた小林秀峰高校のこのたびの宮城全共での活躍は、全国、そして県民に勇気と希望を与えるものとなったと思います。今回の全共において、農業県または畜産県として大きな原動力となってくれた高校生の活躍をどのように評価されておるのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(四本孝君) 私は去る8月に、激励のために高鍋農業高校小林秀峰高校を訪問いたしました。その際、管理や調教に生き生きと取り組む生徒の表情や態度から、日本一になるという気概を感じ取ったところであります。また、両校とも、地域の和牛生産のたくみや関係機関と一体となって、地域農家が伝承してきた高い技術を学ぶとともに、日本一を目指すために、徹底した準備と不断の努力の重要性を、実践を通して学ぶ機会になったものと信じております。仙台の会場におきましては、生徒たちが、自校の牛以外に、ほかの宮崎の代表牛を進んでお世話をしながら、農家の方々とコミュニケーションを図る姿や、結果を聞いて悔し涙を流す姿を目の当たりにいたしまして、私は、これこそがまさにキャリア教育だと思った次第であります。今回の全共における両校の活躍につきましては、農業を学ぶ全ての高校生に誇りや自信を与え、将来への夢や希望を育むとともに、本県の基幹産業である農業を支える人材となる意欲の向上につながるものと、心強く思っております。 ◆(山下博三議員) 今回の経験で、本県農業の若いリーダーとして力強く育っていってくれることを願っております。 実は、昨日午前中、牛も無事に帰陣したそうでありますが、出品者の意見として、遠隔地での開催ということで大変心配しておりましたが、牛の輸送手段、現地での県を初め各団体のきめ細かな対応に対して、大変感謝をされておりました。また、開催県でありました宮城県でも、期間中延べ4,000名のスタッフが動員されたとのことでありまして、スムーズな運営が図られたことに対しまして、宮城県にも深く感謝を申し上げたいと存じます。 次に、2巡目国体の開会式等について2問、総合政策部長にお伺いをいたします。 国民のスポーツの祭典である国体には、全国から選手、監督、大会関係者、観客など多くの方が来県され、そのオープニングを飾る開会式は、本県を全国に発信する絶好の機会となります。そこで、開会式への対応についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 国民体育大会全国障害者スポーツ大会の開会式は、これまでの例を見ますと、陸上競技場が使われておりますので、本県におきましても、一義的には新たに整備する陸上競技場が開会式会場になることが想定されるところであります。また、開会式には、選手を初め大会関係者や観客など多くの来場者が見込まれますことから、他県では、臨時駐車場の設置やシャトルバスの運行などが行われておりまして、本県におきましても同様の対応が必要であると考えております。本県におきましても、新たに整備する陸上競技場において開会式を行う場合には、高速道路は、山之口スマートインターチェンジだけではなく都城インターチェンジも利用できますので、これらを組み合わせながら、またJRの利用等も含め、今後、さまざまな課題に対する具体的な対応について検討していくことになるものと考えております。 ◆(山下博三議員) 国体後に施設が十分に活用されることが大切でありますが、地元市との連携を含め、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 議員の御指摘のとおり、新たに整備する施設につきましては、国体後の活用をいかに図っていくのかが重要であります。このため、延岡市や都城市とも意見交換を行っているところでありまして、延岡市からは、オリンピック選手を輩出しております旭化成等と連携したスポーツイベントなどの開催・誘致、都城市からは、体育大学等と連携した取り組みなど、積極的な提案をいただいているところであります。また、県内の競技団体が活用しやすい環境を整えていくことも重要でありますので、競技団体の意見も聞きながら、支援のあり方等について検討していくこととしております。具体的には、施設整備の内容等とあわせて今後検討してまいりますが、地元市とも十分連携し、スポーツランドの全県展開に資するものとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、競技会場の選定についてお伺いをいたします。昭和54年の宮崎国体では、29競技の約3割に当たる10競技が宮崎市で開催されました。今日、県内では、当時に比べ高速道路も整備され、一般道も渋滞緩和のためのバイパス整備がなされております。航空機を利用して宮崎におり立つ選手団や、高速道を利用して宮崎入りする選手団など、さまざまなルートを使って来られるものと思われますが、前回大会での移動に比べ、時間は大きく短縮できるものと思います。そこで、2巡目国体の競技場についてどのような基準で選定されるのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(四本孝君) 国体の競技会場につきましては、県及び市町村の施設を中心に、隣県施設等を含め、市町村や競技団体の意向を踏まえながら検討することになるものと考えております。具体的には、今後、設置予定であります県、県議会、市町村、競技団体などで構成する「宮崎県準備委員会」の中で協議を行いまして、最終的に選定していくこととしております。2巡目国体におきましても、市町村や競技団体等の協力をいただきながら、国体を通した地域の活性化に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
    ◆(山下博三議員) 今後、基本計画が策定されていく中で、施設整備についてもその所要額が算定されるものと考えますが、先ほど述べたとおり、6月の常任委員会での説明によれば、主要3施設の施設整備だけで最大250億円程度はかかる見込みのようであります。国体開催に伴う施設整備費の財源をどのように確保されるのか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(桑山秀彦君) 現段階では、整備費用につきましては概算でありますので、今後、具体的な整備内容や手法を決定していく中で精査をしていくことになると考えております。施設整備に係る財源につきましては、まずは活用可能な国庫補助金あるいは交付金を充てた上で、その残りについて、県債の発行や一般財源で賄うことになります。県において必要な財源については、県有施設維持整備基金を活用することとしておりますけれども、今後、国体関連の施設整備のほか、公共施設の老朽化対策にも多額の費用が見込まれておりまして、平成28年度決算見込みにおける残高約234億円では不足すると予想されますことから、さらなる基金の積み増しを行っていく必要があると考えております。 ◆(山下博三議員) 開催まであと9年、陸上競技場が都城市、体育館が延岡市、プールが宮崎市という主要3施設の整備が公表されております。県も市町村も財政的には非常に厳しい環境にあると思いますが、知恵を出してすばらしい大会になることを念じております。 次に入ります。先日、平成30年度の国の概算要求の状況が公表されました。一般会計の総額は101兆円程度となっており、要求額が100兆円を超えるのは4年連続ですが、平成29年度の要求総額を下回る状況とのことであります。県におきましても、これらの国の予算編成や地方財政対策の動向を踏まえながら、今後、平成30年度の予算編成に取り組んでいかれることと考えますが、平成30年度の当初予算編成についてどのような姿勢で取り組んでいかれるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県の財政状況につきましては、歳入の大きな伸びが期待できない中で、年々増加する社会保障関係費に加えまして、防災・減災対策や公共施設の老朽化対策、また、今御議論がありました国体開催に伴う施設整備など、多額の財政需要が見込まれているところであります。一方で、厳しい財政状況の中にあっても、人口減少問題など県政の重要課題には的確に対応していく必要があると考えております。平成30年度の当初予算編成につきましては、今後、本格的に取り組んでいくこととしておりますが、国の予算編成や地方財政対策などの動向を注視しながら、財政改革の取り組みを不断の取り組みとして位置づけ、行財政運営をしていく上で一つの標準装備として、常に取り組むものとして位置づけ、既存の事務事業を徹底的に見直し、これにより捻出した財源を有効に活用して新たな事業を構築するなど、持続性のある財政運営を行いながら、地方創生の推進を初めとした地域活性化の課題など、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 国においては、これから年末にかけて、各省庁、財務省と予算要求の議論が行われてまいりますが、財務省では近年、地方の基金残高が増加しているということをもって、地方財政計画が過大であり、適正化を図る必要があるのではないか、また、それをもって地方交付税は削減すべきではないかというような議論がなされているようであります。本県財政にとって、地方交付税の確保は大変重要な課題であると考えますが、これらの議論について、本県の現況と、この議論に対する県の考え方を、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(桑山秀彦君) 本県における基金の状況でございますが、平成28年度決算見込みで、35の基金、残高は約901億円となっております。この中には、当初予算編成時の財源不足等を補います財政関係の2基金、あるいは地域医療介護総合確保基金などの、法令や国の経済対策により設置した基金を含んでおりまして、これらの基金を除きました県独自の施策により設置した基金は、18の基金、約321億円でございます。この県独自の基金のうち、残高が最も多いのが県有施設維持整備基金の約234億円でありますけれども、これは、国体関連施設の整備など、今後の財政需要に備えるため、近年、積み増しを行ってきていることによるものでございます。県としましては、現在の財政状況や今後の見通しに基づいて適切に基金を管理しておりますので、国において、短期的な基金残高の増加のみに着目して、地方財政計画の適正化、あるいは地方交付税の削減が議論されるのは適当でないと考えております。先般開催されました総務省主催の地方財政連絡会議におきましても、こうしたことを強く主張してまいったところでございます。 ◆(山下博三議員) 脆弱な財政基盤でありますので、よろしくお願いいたします。 次に、本年7月5日から6日にかけて、福岡県と大分県を中心とする九州北部で発生した集中豪雨災害について、危機管理統括監にお伺いをいたします。 7月5日未明には、島根県西部を中心に、発達した雨雲が帯のように連なる線状降水帯が発生し、記録的な大雨となっておりました。この大雨による被害は、マスコミ等でも大きく報道されておりましたが、36名の人的被害に加え、河川の氾濫、土砂崩れ、住宅や文化財、鉄橋の流失など極めて甚大でありました。宮園集落の50代の男性は、「何かあれば避難しようと思っていたが、何が起きているのかわからないままだった」ということであります。危機を伝える情報をどうやって確実に住民に届けるかが大きな課題であります。また、福岡市消防局などから緊急救助隊が朝倉市に到着したときには、対策本部が混乱し、道路も寸断されており、50件以上を超える救助要請に対して、なすすべがない状態であったということであります。今回の九州北部豪雨災害を見て、本県として教訓とすべき課題が何なのかお伺いをいたします。 ◎危機管理統括監(田中保通君) 今回の九州北部豪雨では、線状降水帯の発生によりまして短時間のうちに記録的な豪雨となったため、甚大な被害が発生いたしました。このような場合、住民の早期避難が最も重要であり、市町村において、避難勧告等の発令を早期に判断し、住民に対して迅速かつ確実に伝達していくことが極めて大切であります。このため本県では、河川の氾濫や土砂災害の発生予測に関しまして、市町村長に直接、情報を提供する取り組みを本年6月から開始しており、トップが避難勧告等の発令についてちゅうちょすることなく的確に判断できるよう、支援しているところであります。また、住民自身も、自分の命は自分で守るという自助の考えのもと、住んでいる地域の災害リスクを認識し、事前に安全な避難場所等の確認を行った上で、いざという場合には迅速に避難していただくことが重要になりますので、県民に災害への備えを十分とっていただくよう周知・啓発を行っているところであります。今後とも、全国各地で発生するさまざまな災害の教訓をしっかり学び、県民の命を守ることを最優先に、防災対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 最近は世界各国で、異常気象の中、大きな災害が発生しております。先日、NHKスペシャルでも放送しておりましたが、「予測不能の異常気象」「予測不能の異常強風」との表現もしておりました。災害に直面した方々の生々しい実録でありました。このたびの九州北部豪雨では、短時間に記録的な豪雨が特定の地域に集中したことにより、森林の山地災害防止機能の限界を超え、多数の山腹崩壊等が発生して、多量の土砂と立木が流出し河川をせきとめ、被害が拡大したと言われております。今後、本県でも発生するおそれのある豪雨災害から県民を守ることができる森林(もり)づくりなどを行っていく必要があると考えております。そこで、県は災害に強い森林(もり)づくりや山地災害の防止に向けてどのように取り組んでおられるのか、環境森林部長にお伺いをいたします。 ◎環境森林部長(川野美奈子君) 県では、災害に強い森林(もり)づくりに向けまして、土壌の侵食や表層崩壊を防ぐため、樹木の根をしっかりと張らせ、林内が草木に覆われるよう、人工林の間伐や林地の地形や地質に適した樹種を植栽するなど、適切な森林整備に取り組んでいるところであります。また、山地災害対策につきましては、崩壊等の危険のある箇所として指定しております山地災害危険地区について、現在、見直し作業を行っているところであり、年内には完了する予定でございます。見直し後は、より緊急度の高い箇所から治山ダムの設置を進めるなど、必要な対策を講じることとしているところであります。今後とも、県土整備部や市町村等とより一層の連携を図りながら、災害に強い森林(もり)づくりや山地災害の防止に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 本県は県土の7割を山が占めております。大きな災害が発生することが懸念されております。スリットの設置など県土整備部との協議が必要であると思っておりますので、部局横断での対策をよろしくお願いいたします。 次に、危機管理体制について、教育長にお伺いをいたします。平成23年3月に発生した東日本大震災は、大変甚大な被害を及ぼしましたが、地震発生から約40分後には、津波の第1波が新北上川を遡上し、河口から5キロメートルにあった石巻市立大川小学校では、校庭にいた児童74名と校内にいた教職員10名が巨大津波の犠牲となりました。一方で、同じ石巻市にある門脇小学校では、かねてから学校裏山への避難訓練が実施されており、全員無事でありました。地震発生後の大川小学校の対応については、さまざまな疑問や指摘がなされ、平成26年3月には、犠牲になった児童の遺族が、宮城県と石巻市に対し総額23億円の損害賠償を求める民事訴訟を提起されました。1審判決では、市の広報車が高台への避難を呼びかけた時点では、大規模な津波の襲来を予想できたはずで、裏山に避難しなかったのは学校側の過失であると認定し、一定額の支払いを命じております。県と市はこれを不服として、本年3月、仙台高裁に控訴するとともに、遺族側も、もっと早い段階で津波の襲来を予見できたとして控訴しました。控訴審の争点は、学校保健安全法の解釈であります。同法では各学校に、危機管理マニュアルの作成、内容の周知、訓練の実施などが義務づけられております。遺族側は、マニュアルの作成を初めとする一連の遵守義務に対して、組織的な注意義務を怠ったと反論し、裁判は継続をしております。 この一連の裁判を見たとき、南海トラフ地震の確率が高まっていると言われる本県においても、決して他県で起きた災害と片づけられるものではありません。県内公立学校における危機管理マニュアルの策定状況と訓練の取り組み状況について、お伺いをいたします。 ◎教育長(四本孝君) 昨年度実施した調査によりますと、県内全ての公立学校において危機管理マニュアルが策定され、さまざまな形で訓練も実施をされております。特に、南海トラフ地震における津波の浸水想定地域にある学校の訓練においては、校舎の最上階や屋上及び近隣の高台に避難するなど、危機感をより高めた訓練になるよう改善をされております。県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会や県立学校の防災担当職員を対象に、研修会を実施しているところであります。その中で、大川小学校事故検証委員会から講師を招聘したり、事故検証報告書をもとに、学校の危機管理マニュアルの見直しを検討したりするなどの取り組みを進めているところであります。今後とも、大川小学校の事例を教訓としながら、市町村教育委員会や学校を指導してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 県民を挙げた、なお一層の取り組みが重要であります。今後、学校だけでなく地域も巻き込んだ訓練を定期的に実施するなど、具体的な取り組みを強化していく考えはないのか、危機管理統括監にお伺いをいたします。 ◎危機管理統括監(田中保通君) 津波から安全な場所へ迅速に避難するためには、行政機関による公助だけではなく、住民の自助、自治会等の共助による地域ぐるみの取り組みを強化していくことが大変重要であると考えております。沿岸市町では毎年、行政や自治会等が主体となりまして、学校、民間企業等と連携した訓練や、津波避難タワーやビル等を活用した訓練、夜間や要配慮者を考慮した訓練など、地域の実情に応じた避難訓練を実施しており、県も必要な費用に対する補助や研修の実施等の支援を行っているところであります。今後とも、住民の命を守ることを最優先に、沿岸市町や関係団体と協力し、地域を巻き込んだ避難訓練の取り組みを強化してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、経済・産業振興対策について、まず3問、総合政策部長にお伺いをいたします。 我が国の経済は、政府のデフレ脱却と経済再生に向けた取り組みにより、企業収益は過去最高水準となり、2017年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0.6%増と、6・四半期連続のプラス成長となっております。本県経済の状況でありますが、主要な経済指標の平成26年度と22年度の比較で見てみますと、県内総生産、名目ベースで4.7%増、1人当たり県民所得が7%の増となっており、上昇傾向にあるようにうかがえます。本県経済を見る上で、民間事業者の投資意欲も重要な指標と考えますが、日本政策投資銀行南九州支店がまとめた2017年度の県内企業の設備投資計画では、非製造業は3年ぶりに減少となるものの、食品分野の能力増強を背景に、製造業が2年ぶりに増加に転じ、全産業で前年度比20%の増になる見込みとのことであります。そこで、本県の経済、景気の状況について、民間の投資意欲の状況等も踏まえて、県はどのように評価しておられるのかお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 議員のお話にありましたとおり、我が国の名目国内総生産が、平成20年のリーマンショック以前の水準まで回復しない中で、平成26年度の県内総生産額は3兆6,434億円と、過去最高となっております。また、平成26年の製造品出荷額等は過去最高の1兆5,276億円となったほか、平成28年の住宅投資、金融機関の預金・貸出金残高等の状況を見ましても、改善や増加の動きが見られ、また、農業面でも畜産に関する融資額が伸びているところでございます。このような中で、消費の面が一進一退の状況にありまして、若干不安な面もございますが、一方、1人当たり県民所得は全国の伸び率を上回って推移するなど、本県経済は、全体としては緩やかに改善しているものと考えているところでございます。 ◆(山下博三議員) 共同通信がこの夏に実施しました景況に関する全国自治体アンケートによりますと、景況感が昨年末と比べて「上向いている」とした市区町村は17%にとどまり、76%は「変わらない」とのことでありました。県内は、県及び宮崎、都城、延岡、諸塚の3市1村が「上向いている」とし、6市13町が「変わらない」との回答とのことでありました。「景気回復の実感が地方に届いていない」との声をいまだに聞きますが、県内でも、中心都市と中山間地域等を抱える自治体では、景況感等に関する認識に開きがあるようであります。そうした意味でも、各自治体が、人口減少社会に向けてそれぞれの特徴や強みを生かし、自律的で持続的な地域づくりに取り組む地方創生は極めて重要であると考えます。県においては、平成27年9月に策定した「宮崎県まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、国の交付金等を活用し、関連施策を進めてきており、市町村もそれぞれが、同様に地方創生の取り組みを進めています。そこで、総合戦略の取り組み状況や、これまでの成果を踏まえ、今後どのように地域の特性を生かした地方創生を進めていくお考えか、お伺いをいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 本県では、総合戦略に基づきまして、「しごとを「興す」」取り組みとして、成長産業や中核的企業の育成、「人を「育てる」」取り組みとしまして、産業人財の育成や若者の県内定着などに、国の地方創生関係交付金も活用しながら取り組んでおります。また、今お話にありましたような課題もありますけれども、一定の手応えも感じているところでございます。御指摘のとおり、地域のよさや個性を引き出し、地域づくりに生かしていくことが大変重要でありますので、例えば、県北地域における医療用機器製造業や世界農業遺産、ユネスコエコパーク、県西・県南地域における農林水産業や食品関連産業の集積などは、伸ばすべき魅力であると考えております。今後の交通インフラのさらなる整備進展も追い風としながら、こうした各地域の特性を磨き、発展させ、雇用の確保や所得の向上につなげてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 地方創生の取り組みの中で最大の基盤となるものが産業の振興であり、そこから生まれる良質な雇用を創出していくことが、人口減少社会の進展、若者の流出を食いとめるためにも最も重要な課題であります。本県の産業の特徴は第1次産業であります。各都道府県の産業部門別の生産額の構成比を全国の状況と比較した特化係数で見ると、本県農林水産業は、産業分野の中でも最も高い構成比を示しております。しかし一方で、食料品、飲料品の出荷額は、隣県の鹿児島県と比較しても低い水準にとどまっております。本県の強みである農林水産業を2次・3次産業へとつなげるフードビジネス産業の振興をさらに推進していくことにより、外貨を稼ぎ県民の所得向上を図ることが重要であると考えますが、部局横断的な施策全体の司令塔の役割を担う総合政策部の今後の取り組みをお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) フードビジネスにつきましては、平成25年に振興構想を策定しまして、食関連産業の成長産業化による雇用の創出と地域の活性化に取り組んできたところであります。この間、フードビジネス相談ステーションや、ひなたMBAによる人材育成、各種コーディネーターの設置など、県内事業者を支援する基盤の整備を進めてまいりました。その結果、「フードビジネス」という考え方が広く定着し、食料品・飲料等出荷額が構想策定時から約700億円増加するなど、一定の成果が出てきているところであります。今年度から構想の推進期間の折り返しとなりますが、引き続き、これまで培ってきた基盤を生かし、生産者所得の向上、高付加価値化の推進等の視点から、産地加工や畜産関連産業の拡大、東京オリンピック・パラリンピックを契機とした国内外への販路拡大など、フードビジネスのさらなる飛躍に向けた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 産業の振興を図るには、それを支える産業人財の確保が不可欠であります。この数年で人財の確保に対する危機感が高まっております。私は、農業や福祉などさまざまな分野で多くの皆さんの意見を聞き、その対策を、ともに悩み議論を重ねてまいりました。後継者がいない、従業員が確保できないことから、廃業や事業規模を縮小した企業のお話を聞き、残念な思いをしたことも少なくありません。介護・福祉の分野でも、その状況は深刻なものとなってきております。 しかし、一方で、将来に向けた明るい兆しも出てきております。一例でありますが、県内の小規模な畜産農家の息子が県外に進学・就職しましたが、都会での仕事・生活に見切りをつけてふるさと宮崎に帰り、畜産農家の後を継ぎました。そこで彼は、県外での経験・知識を生かしながら、新たに畜産や経営を学び、コストや財務を見直すことによって赤字経営を脱却し、大きな事業規模の拡大を実現しているといったように、成功事例も多く聞いております。実際に、このように地元に帰ってきた人たちの話を聞くと、県外で仕事を始めて3年、5年と過ぎていく中で、都会での生活に思い悩む時期が必ず1度や2度はあるということであります。 こうした状況を見ると、県外へ出た優秀な若者を県内に戻す取り組みや、県外人財をつなぐネットワークのような仕組みなど、これまで以上に踏み込んだ対策が求められると考えます。そこで、農林水産業や製造業などを含めた県内産業全体をさらに活性化していくためには、産業人財を確保するための総合的な対策が必要だと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、知事にお伺いをいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 県内のさまざまな産業の活性化を図るためには、企業の成長を促進しますとともに、これを支える産業人財の確保を図ることが重要だと考えております。本県におきましては昨年度、産学金労官が一体となりまして産業人財育成プラットフォームを設立して、必要な取り組みを進めてきたところでありますが、国全体として人手不足はますます加速しており、依然として人材確保が困難な状況が続いております。これまで以上に産学金労官一体となった総合的な対策が求められていると感じております。このため、改めて若者の地元定着の課題を整理し、関係機関が連携をした、より実効性の高い取り組みを推進していくための新たな指針を策定したいと考えております。今後、年内を目途にこの指針を策定し、キャリア教育の推進やインターンシップの充実、若者にとって魅力ある労働環境の整備、「宮崎で暮らし、宮崎で働く」よさの創出と、学生や県外で働く若者、保護者等に対する働きかけなど、総合的な人材育成・確保対策をスピード感を持って展開してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) フードビジネスの推進や産業人財の確保について質問してまいりましたが、消費地から遠隔地にある本県は、農産物、加工品であっても安定的に大消費地などに輸送できる体制がなければ、本県経済の発展を見込むことはかないません。7月にみやざき観光コンベンション協会の会長に就任された県商工会議所連合会の米良会頭は、就任に当たって、「経済に最も重要なことが、人や物の輸送路の確保である。宮崎は遠隔地であり、陸海空いずれのインフラも欠かすことはできない」と言われております。今後の本県物流の将来を考えるとき、トラック輸送は不可欠でありまして、特に人手不足が著しいドライバーの安定確保は最重要課題であります。そのためには、距離や拘束時間に応じた給与面での待遇改善も必要でありますが、陸海空の輸送路の連携も早急に進めることが必要であります。私も今日まで物流対策についてはお伺いしておりますが、改めて知事に、本県の物流環境の認識とモーダルシフトの進むべき方向性についてお伺いをいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 地方創生を実現していくためには、外貨の獲得というものが非常に重要でありまして、そのためには、本県産業の振興はもとより、県産品を大消費地に安定的に輸送する物流が、極めて重要な役割を担っているところであります。今、振り返ってみて、今回の全共におきましても、1,700キロメートルの距離を、迅速かつ丁寧に貴重な牛を運んでいただいたトラックドライバー、関係者の皆さんには大変大きな役割を果たしていただいたと考えております。 本県と大消費地を結ぶ物流におきましては、輸送コストなどの課題とともに、特に近年ではトラックドライバーの不足が深刻化しており、県産品の輸送が滞れば、本県経済への影響が懸念されるところであります。このため、トラックドライバーの負担軽減が期待されます、海運や鉄道輸送へのモーダルシフトの必要性がますます高まっていると考えております。県としましては、従来から、モーダルシフトへの助成事業やポートセールス活動、国も参加いただく荷主や運送事業者等との意見交換会などを実施しております。今後、さらに産業界との連携を密にし、モーダルシフトを積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、地域医療構想についてお伺いをいたします。 団塊の世代が全て後期高齢者となる2025年に向けた対策として、本県でも地域医療構想が策定され、病床機能の分化・連携や入院から在宅医療等への移行を進めることにより、効率的な医療提供体制を確保していくこととされております。一方、訪問看護や訪問介護の人材は現在でも不足しており、若手の定着率も悪い状況にあるため、今後人口減少が進めば、在宅医療等に携わる医療や介護の人材確保はさらに難しくなるものと思われます。そのような中、在宅医療等の推進、ひいては地域医療構想の実現は本当に可能なのか、不安を感じる毎日であります。そこで、昨年度策定した地域医療構想について、今後その実現にどのように取り組んでいかれるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 昨年度策定した地域医療構想におきましては、2025年に必要となる病床数を国の定める一定の条件に基づき算定しており、これを目安としながら、地域にふさわしい効率的な医療提供体制の構築を目指すこととなります。構想策定後は、各医療機関において将来担う医療機能について検討していただく必要があるため、県では、宮崎大学や県医師会と連携をしながら、地域の医療資源や医療機関の現状等に関する調査・分析を進めているところであります。これらの結果等を活用しながら、各医療機関が検討を行い、各圏域の地域医療構想調整会議におきまして、在宅医療等を含め、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に向け、協議・調整を図ることとしております。今後とも、各調整会議において議論が円滑に行われるよう必要な支援に努め、各地域におきまして、高度急性期から急性期、回復期、慢性期、在宅医療まで、患者が病状に見合った適切な医療サービスを受けられる体制が確保されるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。 地域医療構想を着実に進めていくためには、地域の公立病院、特に本県医療の中核機能を担う県立病院のあり方が大きく影響するものと考えております。さきの6月議会では、県立宮崎病院の再整備計画について、「地域医療構想を踏まえた、病床数の削減を含む計画の見直しを行う」との答弁もありました。そこで、今後、地域医療構想を進めていく上で、県立病院にどのような課題があると認識されておるのか、また、その課題に具体的にどう対応していく考えなのか、病院局長にお伺いいたします。 ◎病院局長(土持正弘君) 県立病院は、地域医療構想を進める上においても、引き続き、高度・急性期医療を担う本県の地域医療の中核として位置づけられるものと考えておりますが、一方で、慢性期の入院患者の割合が大学病院等と比べ高い傾向にあり、病床機能の明確化や病院経営の面からも大きな課題と認識をいたしているところであります。このため、県立宮崎病院の再整備計画におきましては、地域医療構想で示された将来的な医療需要等を踏まえ、計画病床数をさらに削減することとしたところでありますが、今後も引き続き、各県立病院を取り巻く環境等を踏まえた病床機能の議論を、それぞれ行っていく必要があると考えております。具体的には、急性期病院としての役割を基本といたしまして、地域包括ケア病棟の整備や地域医療支援病院としての機能強化など、各地域の医療機関と連携した適切な医療サービスを提供できるよう、その機能などについて必要な見直しを行いながら、構想の実現を図っていくものと考えております。 ◆(山下博三議員) 県内3県立病院の大きな役割があるだろうと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ここから5問、福祉保健部長にお伺いしてまいります。先ほども申しましたとおり、人口減少が進む中、地域医療構想を着実に推進していくためには、在宅医療・介護を担う人材を確保することが大変重要な課題であると考えます。そこで、在宅医療・介護を担う看護人材、介護人材の確保に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 在宅医療・介護を担う人材の確保につきましては、修学資金の貸し付けを初め、賃金や職場環境の改善、離職した看護師、介護福祉士等への復職支援や、各種研修の実施・支援などに取り組んでいるところであります。また、今年度は、訪問看護ステーションにおきまして新卒看護師の採用を促進するため、新卒向け訪問看護師育成プログラムによる研修支援や育成経費の支援等を行っております。さらに、介護の魅力ややりがいを発信しイメージアップを促進するため、マスメディアを活用して、訪問看護や訪問介護などの現場で生き生きと働く方たちを紹介するとともに、放送終了後には、その内容を収録したDVDを小・中・高校へ配付することとしております。県としましては、引き続き関係機関と連携を図りながら、在宅医療・介護分野への就業や定着促進を図る取り組みを充実強化することにより、人材の強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、医師確保についてお伺いをいたします。先日の報道によれば、医学部の地域枠を地元出身者に限定するとのことであります。地域枠とは、地域で働く医師の確保を目的として設けられたものですが、医師不足が深刻化する本県において、若手医師の確保の観点からも非常に重要であると考えます。また、平成26年の国の調査によれば、県内の医師数は2,730人で、少しずつではあるものの年々増加しております。しかしながら、内科、小児科、産科といった特定の診療科において、県内における地域的偏在が徐々に拡大しています。そこで、本県における地元出身高校生を対象とした医学部推薦入試の状況と卒業後の県内定着、及び県内医師の地域偏在の状況と対応策についてお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 本県の医学部推薦入試の状況につきましては、宮崎大学に、平成18年度から地域枠10名、さらに21年度からは、医学部定員の増を受けまして地域特別枠10名が設けられており、また同じく、長崎大学にも22年度から宮崎県枠2名が設けられております。卒業後の県内定着につきましては、28年度までに69名が卒業し、このうち50名が県内で臨床研修を開始したところであります。また、26年12月の国の調査によりますと、県内の医療施設に従事する医師につきまして、過半数が宮崎東諸県医療圏に集中するということでございまして、その中で、特に一部の圏域では、小児科系、産婦人科系の医師数が1桁となっており、地域への偏在が見られるところであります。このため、先ほどの推薦枠の設置のほか、医学生への医師修学資金の貸与、自治医科大学卒業医師の計画的配置などに取り組んでいるところであり、今後とも、大学、医師会などと連携を図りながら、医師確保や偏在解消に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、平成30年度からの国民健康保険制度についてお伺いします。我が国の医療費は、毎年約1兆円増加するペースで増大しております。これらを背景に、平成27年5月に関係法が改正され、持続可能な医療保険制度の構築や、国保を初めとする医療保険制度の財政基盤の安定化等が図られることとなったところです。特に国保制度は、他の医療保険等に加入していない全ての方が加入する制度であるため、年齢構成が高く、医療費水準もそれに伴い高くなっております。また、加入者の所得水準が低く、保険税の負担も重くなっております。さらに、本県には国保加入者が3,000人未満の小規模保険者が8町村あり、高額の医療費が発生した場合は、財政運営が著しく不安定になるというリスクがあります。このような課題に対応するため、国保制度改革が行われ、これまでの市町村による個別の運営から、県と市町村が共同して運営を担い、県が財政運営の責任主体となることにより、財政的な安定化が図られるとともに、本県の統一的な国保の運営方針を定めることによって事務の共同処理等が図られ、効率的な事業実施が進められるものと理解しております。今般の改革は、国民皆保険制度のかなめとされる国保制度を持続可能なものとするための重要な改革であり、県が果たすべき役割は極めて重要であります。県として、国保制度改革の重要な課題は何であると認識し、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 国保制度改革においては、持続可能な制度の構築のため、保険財政の安定化を図ることが重要であると認識しており、県が財政運営の責任主体として国保財政の出と入りを管理するとともに、毎年、全国規模で約3,400億円の公費が拡充されることにより、国保財政の安定化が図られるものと考えているところであります。また、増大する医療費に対し、適正化に向けた取り組みがより一層重要であることから、今年度策定する宮崎県国民健康保険運営方針や医療費適正化計画などに基づき、医療費適正化に向けた取り組み等に対する交付金として新たに創設される保険者努力支援制度を活用するなど、県と市町村が一体となって医療費の適正化に取り組むこととしております。来年4月の制度改革施行に向けて、着実に準備を進めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、重症心身障がい児・者の支援についてお伺いをいたします。県内には、県が把握しているだけでも約700名の重症心身障がい児・者がおられ、そのうち400名を超える方については、在宅で御家族が介護をしておられます。中でも、たんの吸引や酸素の吸入、経管栄養などの医療的なケアが日常的に必要なお子さんを見ておられる親御さんにあっては、24時間365日、気の休まることがなく、大変な御苦労をされております。そのような御家族の休息や社会参加の機会をつくる上で、重症心身障がい児・者を対象とした短期入所や日中一時支援などの障がい福祉サービスの充実が求められております。しかしながら、障がい福祉サービス事業所で医療的ケアを必要とする方を受け入れるには、医師、看護師を初めとする医療スタッフを確保しなければならず、新規参入がなかなか進まない状況にあります。非常に熱意を持って宮崎市に開設した社会福祉法人においても、報酬単価が低いことなどからくる経営上の問題や、高い技術を持った看護師の育成・定着の難しさなど、さまざまな課題を抱えておられます。 国においても、来年4月のサービス報酬改定に向けた議論の中で、事業所で構成する協議会から、医療的ケアを要する重症児・者は、基本的に1対1の人員配置が必要であり、規模によって低減する現在の報酬体系では、受け入れれば受け入れるほど収支が悪化するという現状の報告がなされました。重症児・者の割合が30%を超える事業所では、収入の13%前後の赤字となっているという厳しい状況であります。今後、国の議論において、医療的ケアを含む手厚い支援に対して適正な報酬体系となり、そうした事業所の経営の安定化が図られるよう期待をしているところであります。こうした中で県は、重症心身障がい児・者の支援における課題をどう捉え、短期入所などを実施している事業所に対してどういった支援をしているのか、お伺いをいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 重症心身障がい児・者の支援につきましては、より身近な地域における短期入所や日中一時支援などの通所サービスに対するニーズが高まっており、特に、人工呼吸器の装着などにより、高度な医療的ケアを要する方の短期入所等の受け入れが可能な病院、事業所の参入促進が必要であると認識しております。医療的ケアに対応できる事業所の参入が進まない要因としては、議員から御指摘のあった、費用と報酬の不均衡、それから医師や看護師等の医療スタッフの確保のほか、医療機器等の初期投資などの課題があるものと考えております。県としましては、来年4月の報酬改定に向けた国の議論を注視するとともに、地域医療介護総合確保基金等を活用して、看護師等の人材育成支援や施設・設備整備に対する補助を実施するなど、事業所に対する支援に努めているところであります。 ◆(山下博三議員) 重症心身障がい児・者とその御家族が地域で安心して生活していただく上では、障がい福祉サービス事業所の充実はもとより、障がい福祉の分野と医療・保健、保育・教育といった各分野との連携体制の構築が必要であります。日本財団においては、本県の重症児・者の医療的ケアの取り組みに関心を持たれ、医師、看護師、保健師、障がい福祉サービス従事者などさまざまな職種の連携のあり方について、事業所が主催するセミナーの開催に支援をしていただいております。今年度6回の開催が予定されており、去る7月8日には第1回が開催されたところであります。セミナーでは、県外先進地の施設長の講演や、県内の医師等関係者を交えた議論がなされたと伺っております。今後、このセミナーにおいて、さらにさまざまな報告・提言がなされ、本県における課題が明らかになるものと思われますが、これらの課題を解決するためには、各分野を初め行政も巻き込んで、全国に先駆けた先進的な取り組みが必要となると考えます。重症心身障がい児・者を初め、医療的ケアが必要な方を抱える家族の在宅看護、受け入れる事業所の一連となったシステムができていないことから、県、市の福祉担当課、関係病院等のドクターが連携して情報を共有できる、各分野のネットワーク構築などの支援体制への取り組みを図っていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 在宅の重症心身障がい児・者を地域で支えていくためには、議員御指摘のとおり、分野を超えた協力体制、ネットワークづくりが必要であり、今回の多職種連携をテーマとしたセミナーは、本県の課題を整理する上でも意義深いものになると考えております。厚生労働省の調査によりますと、医療的ケアが必要な児童の約9割はNICU等の入院経験がありますことから、ネットワークづくりにおきましては、NICUを持つ病院と地域の医療機関、保健所・市町村保健センター、障がい福祉事業所などの連携が重要となります。また、特別支援学校、保育所等での受け入れには、教育・保育機関との協議が必要になってまいります。県としましては、こうした関係機関で構成する連絡会議を設置し、在宅の重症心身障がい児・者を、地域の医療や障がい福祉サービスに適切につないでいける体制を構築してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございました。 次に、東京オリンピック・パラリンピックについて、何点かお伺いをいたします。 開催まであと3年と迫ってまいりました。前回のリオ大会、その前のロンドン大会においては、大会期間中、延べで1,500万食の食事が提供されたということであります。食材の調達に当たっては、国際的に認証された基準をクリアしなければ採用されませんが、GAPの認証は進んでいない状況にあります。そこで、全国有数の食料供給県宮崎として、東京オリンピック・パラリンピックへの本県産農畜産物の食材提供の取り組みについて、農政水産部長にお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 東京オリンピック・パラリンピックへの食材提供は、本県農畜産物の魅力を世界にPRする絶好の機会でございます。このため、農産物につきましては、組織委員会が定めた調達基準に適合した「ひなたGAP」を8月に創設しまして、この秋からの認証開始に向け、今準備を進めているところであります。また、畜産物につきましては、調達基準でありますJGAPが3月にスタートしますとともに、公益社団法人中央畜産会によるGAP取得チャレンジシステムも、先月から運用が開始されたところであります。県としましては、こういったGAPの取得を支援するため、ひなたGAPを初め国際水準GAPを指導できます、農業改良普及指導員やJAの営農指導員等を育成しているところであります。今後は、今年度中に公表されます飲食提供基本戦略に基づきまして、産地の絞り込みを行い、重点的な産地指導やサプライヤーとの意見交換等を実施しながら、本県農畜産物ができるだけ多く提供されるように取り組んでまいります。 ◆(山下博三議員) 次に、キャンプ誘致についてお伺いします。2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、競技会場については、既に東京都を中心に整備が進められておりますが、各都道府県による大会前の事前キャンプ誘致競争も徐々に過熱してきていると伺っております。これまで本県では、ドイツやカナダなどの競技団体から視察に訪れていただき、事前キャンプが決定した国や種目もあるということでありますが、これまでの東京オリンピック・パラリンピック大会事前キャンプ誘致の取り組みと現段階での成果、また今後の誘致の方針について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 事前キャンプ誘致につきましては、これまでホストタウンでありますドイツ、イタリアを中心に、知事によるトップセールスやキーマンを活用した誘致活動等を行っており、ことし3月にはドイツ陸上チームのキャンプが決定したところであります。また、ドイツの陸上やカナダ、イギリスのトライアスロン・パラトライアスロンにつきましても視察をしていただき、現在、結果を待っている状況にあります。今後とも、これまでの誘致の取り組みを継続しつつ、日本代表やその他の国、競技種目につきましても、情報収集に努めながら誘致を進めてまいりたいと考えております。 なお、今月23日から日向市で開催されます世界ジュニアサーフィン選手権には、世界各国から、大体50カ国というふうに見込んでおりますけれども、サーフィン競技関係者が多数来県されますので、本県でのキャンプ実施に向け、働きかけを行ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、聖火リレー採用に向けた取り組みについてお伺いをいたします。前回、昭和39年東京大会においては、開会式のおよそ2カ月前に当たる8月21日、ギリシャで採火式が行われ、聖火空輸特別機「シティ・オブ・トウキョウ」号により、トルコやレバノン、インド、マレーシアなど11の中継地を経由して沖縄に到着しました。その後、聖火は、まだアメリカの統治下にあった沖縄から飛行機を乗りかえ、鹿児島、宮崎を経由し北海道の千歳に向かい、この3カ所が日本での聖火リレーの起点となりました。このうち国内第2ルートの起点は、ここ宮崎の平和台公園であり、多くの大人にまじって私も、当時中学2年生でありましたが、中継を見ながら、厳粛な中に心躍る興奮を覚えたことを記憶しております。そこでお伺いしますが、天孫降臨、日本神話の発祥の地宮崎として、今回の聖火リレーについてどのような検討がなされておるのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 聖火リレーは、大会開会式に向けて、全国の機運を高めるとともに、大会のコンセプトや開催国の文化を表現する重要なセレモニーであります。東京オリンピック・パラリンピックが開催されます2020年は、本県にとりまして、記紀編さん1300年記念事業の集大成として国民文化祭を開催する重要な年でもありますので、これまでも、組織委員会を初めオリパラ担当大臣等に対して、神話発祥の地であり、前回起点の一つでもある本県の魅力を発信できる機会となりますよう、要望を行ってきたところであります。今回の日程やルート等はまだ決まっておりませんが、ことし7月には、組織委員会から全都道府県を回る方針が示されたところでありまして、全国知事会でも準備委員会を設置し、組織委員会との調整を行っていくこととしております。今回も、多くの県民が参加できるイベントを開催するなど、一人一人の記憶に残るものとなりますよう取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆(山下博三議員) 次に、訪日外国人誘客対策について2問、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 観光庁が7月に発表しましたことし上半期の訪日外国人旅行者数は、推計で1,375万7,300人、前年同期比17.4%増で、上半期としては過去最多でありました。また、消費額につきましても、4~6月では四半期で過去最高の1兆776億円となったようであります。国は、観光を成長戦略の柱の一つに位置づけ、2020年に日本を訪れる外国人旅行者を年間4,000万人にふやす目標を掲げております。また、本県におきましても、県総合計画やグローバル戦略等の中で、訪日外国人の誘客促進を重要な施策として位置づけております。そこで、本県における訪日外国人旅行者の状況と、誘客に向けた今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) お答えする前に、先ほどの答弁の訂正をお願いしたいと思います。先ほど私、視察をしていただいた競技種目で、「ドイツの陸上」というふうに申し上げましたけど、「ドイツの柔道」の間違いでございますので、おわびし、訂正したいと思います。 それでは、ただいまの御質問に対してお答えしたいと思います。本県における平成28年の外国人延べ宿泊者数は、前年比21.4%増の24万5,180人となっており、そのうち定期航空路線のあります韓国、香港、台湾が全体の8割以上を占めている状況にあります。海外からの誘客対策につきましては、引き続き、定期航空路線のある国、地域を中心に取り組んでいきますが、九州への入り込みが多い中国やタイ等のASEAN諸国へのセールスや、東京オリンピック・パラリンピックに向けて今後増加が見込まれる訪日外国人に対する情報発信についても強化してまいりたいと考えております。今後とも、各国の旅行者のニーズや特性を的確に捉えた効果的なプロモーションを実施し、外国人観光客の誘致に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、海外からのクルーズ船についてお伺いをいたします。油津港におきましては、関係者の熱心な取り組みにより、順調にクルーズ船の受け入れが伸びているところでありますが、このような中、世界最大クラスとなる22万トン級のクルーズ船を受け入れるための整備が、今年度行われることとなっております。この整備により、油津港が、九州の東海岸線としては唯一、22万トンクラスの受け入れ可能な港となり、また、一度に約5,000人の乗客が訪れることになるため、非常に大きな経済効果が期待されるところであります。そこで、本県におけるクルーズ船の寄港状況と、22万トン級クルーズ船の受け入れ環境の整備を踏まえて、今後の誘致の取り組みについてお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 平成28年のクルーズ船の寄港回数は、細島港、宮崎港、油津港合わせまして30回となっております。そのうち海外からのクルーズ船は、細島港が4回、油津港が17回の計21回で、前年の6回から大きく増加しております。このような中、油津港において22万トン級の整備が行われますと、議員のお話がありましたように、九州の東海岸線で唯一寄港が可能となることから、太平洋側の新たな周遊ルートの企画提案や、今後整備予定の八代港と連携した南九州への誘致の取り組みも考えられるところであります。クルーズ船は、一度に多くの観光客を受け入れ、周辺地域への経済波及効果が大きいことから、今後とも、地元自治体と連携しながら受け入れ環境の充実に努めますとともに、船会社に対しまして積極的な誘致活動を行ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、農政問題について7問、農政水産部長にお伺いしてまいります。 まず、肥育牛農家の肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆるマル緊事業についてであります。JA宮崎中央会が事務局を持つ宮崎県農業経営者協議会、県内で6,973名の経営改善に意欲を持つ農業者が加入した組織であります。その肉用牛部門の会員の経営データを分析した資料によりますと、1頭当たり75万円を超えた平成27年12月以降に導入された牛が、ことし8月から出荷され始め、今後、肥育牛経営が赤字に陥ることが懸念されております。再生産が厳しい状況となってくる中で、肥育農家の頼みの綱はマル緊事業であり、発動される時期がいつになるのか、関係者注目の的であります。先日、知事宛てに、県内のJA関係の肥育農家の代表者から、経営安定対策に対する要望も提出されたということでありますが、まさに、いつから、どれぐらいの水準で発動されるのかが一番気がかりなポイントであります。そこで、牛マル緊事業の今後の状況と肉用牛肥育経営安定のための取り組みについて、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) お尋ねの牛マル緊事業につきましては、収益がコストを下回った場合に、差額の8割を補?するものでございまして、本県では、県内の枝肉価格や子牛の導入経費等をもとに経営収支を算定する「地域算定方式」を昨年度より採用しております。これは、県内の肥育経営の状況を踏まえて発動が決定されますので、今後の枝肉相場によりましては、今年中に発動の可能性も考えられます。 次に、肉用牛肥育経営安定対策につきましては、子牛の安定確保を図るため、畜産クラスター事業等を積極的に活用した結果、繁殖雌牛頭数は、前年同期と比較し、平成28年2月には3,000頭、29年2月には1,800頭増加しまして、全体で8万600頭になるなど、着実な生産基盤の強化が進んでいるところであります。県としましては、今後とも、牛マル緊事業の適正な運用を図りますとともに、子牛生産体制のさらなる強化に積極的に取り組みながら、肥育経営の安定を図ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、畜産クラスター事業、産地パワーアップ事業の取り組みについてお伺いをいたします。国は、平成26年度の補正予算で、地域の畜産関係者が有機的に連携、集結して、高収益型の畜産体制、すなわち畜産クラスターを構築し、新たな取り組みの実証や地域の中心的な経営体の収益性の向上、畜産、環境問題への対応などを進めていくこととしました。さらには、平成27年にはTPP関連対策として位置づけられ、以後、毎年のように追加補正等により予算額を拡大しております。一方、産地パワーアップ事業は、畜産クラスターから1年おくれて、平成27年補正予算においてTPP関連対策として予算化されました。本年1月、アメリカのトランプ大統領は、就任とともにTPPからの離脱を表明したものの、アメリカを除く11カ国での協定発効が検討されております。また、本年7月の、新たな日本、EUでのEPA合意を受けて、本県農業の生産基盤をさらに強化する必要がありますが、これまでの畜産クラスター事業、産地パワーアップ事業の予算確保状況及び今後の取り組みについて、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) まず、畜産クラスター事業につきましては、平成26年度から国費で約71億4,000万円を確保しまして、牛、豚、鶏の畜舎整備などを支援してまいりました。その結果、特に繁殖雌牛につきましては、宮崎県畜産新生推進プランで目標に掲げております8万頭を前倒しで達成するなど、着実な成果を上げているところであります。また、産地パワーアップ事業につきましては、平成28年度から国費で約31億5,000万円を確保しまして、複合環境制御技術を導入した園芸ハウス団地の整備などの取り組みを支援することで、意欲ある担い手の規模拡大や生産性向上が図られているところであります。今後とも、生産現場からの多数の要望にお応えするため、事業の継続と十分な予算の確保につきまして国へ要望しながら、本県農業の生産基盤の強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、農政改革に伴う農業共済制度の改革と収入保険制度の導入について、お伺いいたします。国は平成28年11月、農林水産業・地域の活力創造本部において、これまでの災害補償制度、いわゆる農済制度を抜本的に見直し、収入保険制度を導入することとし、関連法案が平成29年通常国会に提出され、可決されました。今後、制度運営のシステム整備や周知徹底を経て、早ければ平成31年度から実施されるということであります。地域の農業者からは、「なぜ農済制度のままでいけないのか」「収入保険であれば、過去の収入額など明らかにしなければならないのではないか」「原則青色申告農家が対象」など、多くの質問を受けます。そこで、収入保険制度の仕組みと農業共済制度との違いは何か、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 現行の農業共済制度につきましては、自然災害による収量減少を補?する制度でございまして、対象品目も限定的で、農業経営全体をカバーしていないといった課題がございます。これに対しまして収入保険制度は、青色申告を行う農業者を対象に、その収入全体につきまして、自然災害のみならず、販売価格低下などによる収入減少も補?する制度でございまして、来年秋から加入申請の受け付けが始まり、平成31年産のものから実施されることになっております。最大の補償パターンを選択した場合には、その年の収入が過去5年間の収入を平均した基準収入の9割を下回りますと、この下回った額の9割が補?される仕組みとなっております。県としましては、農業共済団体やJA等と連携しながら、この制度のわかりやすく十分な周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、農業大学校の専門職大学化についてお伺いをいたします。本年5月に学校教育法が改正され、専門職業人の養成を目的とする新たな高等教育機関として、専門職大学及び専門職短期大学の制度が設けられることになり、文部科学省が示した設置基準では、産業界との連携や、博士等の資格を持った教授等による研究体制の強化、社会人等の積極的な受け入れ等が求められるようであります。また、専門職業の例として、観光分野や情報分野、農業分野などが位置づけられており、国の農業競争力強化プログラムの中でも、「農業大学校の専門職大学化を推進」との記載が見られるところです。我が県の農業大学校は、時代の要請に応じ、教育を見直しながら、本県農業を担う人材を輩出してきておりますが、今後とも、農業の成長産業化を担う意欲ある若者を数多く育成していく責務を担っていかなければなりません。本県の農業大学校の成り立ち、歴史を踏まえ、専門職大学化についてどのように考えておられるのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 農業大学校は、昭和9年に農民道場として開設以来、時代のニーズに対応しながら、実践農業教育機関として、一貫して農業の担い手育成を基本としてまいりました。開設当初は農村部の自営就農者の育成、農業の近代化が進んだ昭和30年代には専業農家の育成、また、他産業への人口流出や新規就農者の減少が課題となってからは、地域のリーダー育成や指導者養成へと、その目的を変えながら、近年では、農業法人等を支える人材の育成も担っているところであります。専門職大学化につきましては、企業ニーズに合った教育を受けながら、大学と同等の学位を得られるといったメリットもございますので、今後の議論の動向を注視しますとともに、県内の農業法人や農業団体、大学等の御意見も十分に聞いてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、農地の基盤整備についてお伺いしてまいります。少し長くなりますが、お許しください。 本県の水田の整備状況は、水田面積3万7,000ヘクタールのうち、30アール程度以上の区画整理が済んでいる面積は39.4%であり、全国平均63.8%からするとかなりおくれており、全国第37位の数字であります。私は日ごろから、都城盆地の農業振興のあり方について、地域の農業法人や製造業の皆さんと勉強会を開催しておりますが、大型の農業法人においては、農地中間管理事業などと農地の集約に努めていますが、余りにも面積が小さく、かつ圃場が分散しているため、農作業を効率的に行うことができづらいという現実に直面しています。ここ数年、特に高齢化に伴い農地の委託希望が増加していますが、「委託希望者の期待に応えることができづらい」という声を多々耳にいたします。 そのような中、平成27年8月に、地域のリーダーに呼びかけて、6人ほどのメンバーで「祝吉地域農業を語る会」を立ち上げ、県、都城市の支援をいただきながら、祝吉上流地域において農地耕作条件改善事業に取り組むこととなりました。全体面積13.5ヘクタールのうち、既に1期地区として6ヘクタールの圃場では、畦畔を除去し、それまで10アール区画73筆を24筆と3分の1に集約し、用排水路の布設がえや、幅員2メートルの農道を5メートルに拡幅を行いました。もちろん、農道の拡幅に要する農地は無償提供であります。残りの7.5ヘクタールについても、2期地区として本年11月に着工し、来年3月末には完了の予定となっております。本事業においては、地元負担や農地の権利問題で圃場整備ができづらいといった課題を持つ他の地域において、非常に大きな波及効果があり、農地の集積をスピーディーに促進する手段として大きな期待が寄せられております。しかしながら、本事業に取り組む中で、表土の搬入やコンクリート畦畔の撤去、用排水路の更新費用などが助成の対象となっておらず、自力施工でコストを下げようにも、また事務処理が複雑多岐にわたるなど、農家の力だけではどうしても及ばないさまざまな課題も見えてまいりました。 このような問題を解決しなければ、本県において、面積が小さく、かつ圃場が分散しているという不利な耕作条件を解消することはできないと考え、先月、8月9日に、土地改良事業に造詣の深い進藤金日子参議院議員のもとを訪ね、農林水産省農地資源課の担当官と意見交換を行ってまいりました。私も精いっぱい、祝吉上流地域の基盤整備事業についての問題点を説明し、本県の中山間地を多く抱える基盤整備の必要性も訴えたところでありました。農水省の事業で活用できる事業や、さらに地元に有利な事業も説明いただきましたが、中でも農業競争力強化基盤整備事業の活用を強く促されました。本事業は、農地の大区画化や排水対策等を実施し、農地中間管理機構とも連携した、担い手への農地集積を進めるというものであり、このたびの土地改良法改正に伴い、新たな事業が検討されていると聞いております。具体的には、集落単位で1ヘクタール以上の一固まりの農地で、大字単位に10ヘクタール以上、すなわち10の集落の農地がまとまれば取り組めるようになるという説明を受けました。しかも費用負担についても、農業者の負担分を国が上乗せして負担するということであります。私は耳を疑って、「集落単位で10集落ということは、実施地域が大字内でも飛び地となるが、それでもいいのか」と再度聞き直しましたが、それでもいいということであります。この要件緩和により、本県でも、基盤整備や排水対策など取り組めなかった地域でも、農家負担なしで取り組めるようになるということであります。県では、農業基盤整備、特に大区画化の必要な面積がどれぐらいあると認識しているのか、また今後どのように取り組みを進めていくのか、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 本県の水田につきましては、これまでに1万4,600ヘクタールで圃場整備が実施されてまいりましたが、全体の6割に当たる2万2,400ヘクタールが未整備となっている状況であります。そのような中、水田の大区画化は、担い手への農地集積や作業の効率化、さらには収益性の向上を図る上で大変有効でありますので、残りの水田につきましては、この大区画化の観点も含めながら、事業地区の掘り起こし等を図っているところであります。現在、国が創設を検討しています新たな事業を含めまして、事業予算の確保に努めながら、農業基盤整備、そして大区画化に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 国の要件緩和は平成30年度からであります。県も平成30年度の予算化に向け、すぐにでも整備要望調査を行い、おくれている農業基盤整備を加速化しなければいけないと思いますが、どのように認識されておるのかお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 今後創設が予定されております農地中間管理機構関連農地整備事業は、議員がおっしゃいましたように、農業者の費用負担が不要で、従来の圃場整備事業と比べまして小さな面積で事業実施が可能となるなど、大変取り組みやすい制度になるものと考えております。そこで、本県では早速、土地改良区や農家への説明を行いまして、従来、事業の対象とならなかった小規模な地域等での要望調査に着手したところであります。今後は、要望の状況を踏まえ、市町村や土地改良区とも連携し、地元合意形成や農地集積・集約化の計画、営農ビジョンの策定など事業化に向けた取り組みを進め、農業基盤整備の加速化を図ってまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) もう理解しておられるようであります。基盤整備が一番おくれている宮崎県でありますから、規模拡大していく中では、農地の集約、基盤整備なくして経営はできないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 さて、宮城県での全国和牛能力共進会が終わり、次は、5年に一度開催の「乳牛のオリンピック」と言われる第15回全日本ホルスタイン共進会が、本県都城市の都城地域家畜市場において、九州・沖縄ブロック8県の共同開催で、平成32年10月31日から11月2日までの3日間の日程で実施されると聞いております。この共進会は、既存施設を活用した大会ということで、経費節減の大会と聞いておりますが、会場となる都城地域家畜市場は老朽化が進んでおり、大会を開催するには、施設の整備など解決する課題があると地元から伺っております。 前回、平成27年に開催された北海道大会は、私も現地に行きましたが、会場等も規模が大きく、さまざまなイベントもあり、期間中に7万人もの方が来場したと聞いております。まさに酪農の本場という印象を受けました。この大会で本県からは、ホルスタイン種全14部門中6部門に9頭の牛を、高鍋農業・都城農業高校や乳用牛改良同志会の若手会員が中心となって出品をされました。北海道の会場まで約2,500キロメートルに及ぶ長い道のりを、ほぼ陸送で3日間かけて移動し臨んだ大会でしたが、入賞のほとんどを北海道が独占するという結果でありました。第15回全日本ホルスタイン共進会は、この地元宮崎を会場に、初めてのブロック開催となります。ぜひとも本県や九州各県の出品牛が上位入賞を目指して取り組んでもらい、その結果、大会が成功をおさめ、「南九州の酪農ここにあり」ということを全国にアピールしていただきたいと考えております。そこで、この共進会の開催に向けたこれまでの取り組みと本県の対応について、お伺いをいたします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 第15回となります全日本ホルスタイン共進会につきましては、九州・沖縄の酪農団体等で構成する準備委員会で開催方針等の協議が行われまして、来月、10月12日に共進会の主催団体となる実行委員会が設立されることとなっております。地元宮崎としましては、関係団体が一体となって、共進会の会場となる都城地域家畜市場の整備や円滑な運営について検討しますとともに、前回大会を上回る成績を目指しまして、優良受精卵や優良雌牛の導入を行うなど、出品牛対策に取り組んでいるところであります。大会が開催されます平成32年は、東京オリンピック・パラリンピックも開催され、さらには口蹄疫終息から10年を迎えるという大きな節目の年でもございます。本県での開催が酪農業のさらなる発展につながるように、大会の成功に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 私も、地元の都城として、盛大に大会が終わればいいなと、その思いでありますので、ぜひ御協力方お願いいたします。 次に、建設技術者の育成・確保についてお伺いをいたします。 本県においても、少子高齢化の急速な進行などにより、建設業、介護・福祉分野を初め、さまざまな産業で人材不足が常態化しています。このような中、建設業者からは、「仕事があっても、人、担い手となる建設技術者が確保できない」といった厳しい話を伺っており、担い手の育成・確保は喫緊の課題となっております。建設産業は、社会資本の整備や防災・減災への対応を担う非常に重要な産業であります。そこで、県として、その担い手となる建設技術者の育成・確保にどのように取り組んでいかれるのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 県では、産業開発青年隊において、即戦力となる建設技術者の育成を図っており、今年度は、昨年度に比べ20名増となる61名が入隊し、建設産業の担い手として期待しているところであります。さらに、建設業団体等と連携し、若年者の職場実習、資格取得を支援する「みやざきの建設産業担い手育成支援強化事業」や、高校生などを対象とした出前講座、現場見学会なども実施しております。また、魅力ある職場づくりを進めるため、労務単価の引き上げや社会保険等への加入を促進するとともに、週休2日モデル工事に加え、今年度からは、生産性向上を図るICT工事を試行しているところであります。県といたしましては、民間における取り組みも重要でありますことから、引き続き、建設業団体等とも十分連携を図りながら、建設技術者の育成・確保に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 次に、東九州自動車道についてお伺いをいたします。東九州自動車道は、昨年4月に北九州市から宮崎市までの約320キロメートルがつながるという歴史的な節目を迎えることができて、大変うれしく思っているところであります。しかしながら、一方で県南地域に目を向けますと、現在も約59キロメートルが未開通として残されており、鹿児島県側も含めますと約87キロメートルもの長い距離が残されているという状況であります。さらに言うならば、そのうち事業化すらされていない区間が、鹿児島県を含め約34キロメートルも残っている状況にあります。東九州自動車道の一日も早い全線開通は、県民全体の悲願であり、県南地域のみならず県全体のさらなる活性化のためにも、欠かすことのできない大変重要な課題であると考えます。そこで、東九州自動車道の早期整備に向けてどのように取り組まれるのか、県土整備部長にお伺いをいたします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 東九州自動車道につきましては、北九州市から宮崎市までがつながり、さまざまな面でストック効果があらわれてきており、高速道路の整備効果を強く実感しているところであります。このような中、県南地域におきましては、今年度、日南北郷―日南東郷間が開通予定でありますが、先ほど御質問にありましたように、油津―串間―夏井間はいまだ事業化されていないなど、東九州自動車道の早期整備は喫緊の課題であります。このため、これまでも知事を先頭に、国に対し整備の必要性を強く訴えているところであり、その中で、ストック効果を発信するとともに、将来を担う高校生などの地域の声をしっかりと届けているところであります。ことしも11月には、関係各県や市町、経済団体等とともに、東京で中央大会と要望活動を行う予定であります。県といたしましては、引き続き、関係各県や沿線地域の皆様とのさらなる連携を図り、東九州自動車道が一日も早く全線開通するよう、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 最後の質問になりますが、テロ対策についてであります。 平成32年に東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催が決定しており、本県におきましても、世界各国選手団の合宿受け入れなどにより、宮崎県の魅力を発信する絶好の機会であります。しかし、報道等によりますと、連日のように世界各地で悲惨なテロが発生しており、国内においてもテロの発生が懸念されるところであります。一旦テロが本県において発生すれば、宮崎はもとより日本の安全神話は崩壊し、国内外に対する影響ははかり知れないところであります。宮崎県警察の運営方針は、「県民の期待と信頼に応える強くしなやかな警察」とありますが、思うに、しなやかな警察の実現には、官民一体となった県民との協働が必要であると考えます。そこで、本県における国際テロの未然防止に向けた、警察で取り組まれている官民一体となった民間事業者等との連携について、警察本部長にお伺いをいたします。 ◎警察本部長(郷治知道君) 警察としましては、国際テロの未然防止に向けて、テロリストを入れない、テロの拠点をつくらせない、テロを起こさせない、この3つの基本方針に基づいて各種テロ対策を推進しております。その中で、テロを起こさせないための官民一体となった取り組みとして、薬局やホームセンター等の爆発物原材料販売事業者及びホテル等の宿泊施設などに対して協力をお願いしております。具体的には、爆発物となり得る化学物質の販売事業者に対して、販売時における本人確認の徹底、保管管理の強化、不審情報の通報などを依頼しております。さらに、テロリストが利用する可能性があるホテル等の宿泊施設、インターネットカフェ、レンタカー事業者などに対して、不審人物が利用しようとした際の通報依頼を行うなど連携を図っております。また、民間事業者等との一層の連携強化を図るため、本年2月には、テロ対策宮崎パートナーシップ推進会議を設立したところであります。今後とも、民間事業者等と連携して、官民一体となったテロ等違法行為の未然防止に向けた対策を推進してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 人間性もいい宮崎県の風土なんですが、ぜひ県警本部長として、県民の安全、治安のために頑張っていただきますよう、お願いをしておきたいと思います。 県議会自民党代表質問の1人目として計43問の質問をさせていただきました。早口になった部分もありまして、申しわけないと思ったんですが、誠意ある御答弁をいただきましたこと、心からお礼を申し上げたいと思います。 それぞれが、県勢の発展、県民福祉の向上のために重要な課題でありまして、県に対する県民の期待も大変大きなものがありますので、知事を初め、県執行部の皆様による積極的なお取り組みをお願いし、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(蓬原正三) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時52分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○議長(蓬原正三) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、宮崎県議会自由民主党、松村悟郎議員。 ◆(松村悟郎議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党の松村悟郎でございます。午前中と違い、傍聴の方も出だしゼロかと思いましたけれども、たくさんお越しいただきまして、ありがとうございます。 それでは、早速始めさせていただきます。 まず、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 我が国では、本格的な人口減少時代を迎える中、さまざまな地方創生の取り組みが本格化しております。大学においても、厳しい大学間競争の中で生き残りをかけ、学生獲得などに果敢に取り組んでおります。そこで、「近大マグロ」で有名な近畿大学の取り組みを紹介したいと思います。この大学は、研究成果や改革力の高さもさることながら、そうした内容をインパクトのある形でPRする広報力の高さが注目を集めております。その成果として、同大学の志願者数は、全国私立大学中、4年連続日本一を達成するなど、学生獲得につなげております。例年、イギリス高等教育専門誌が発表する世界大学ランキングで、私立総合大学の上位から、早稲田、慶應に次いで近畿大学との評価を受け、ことしの正月の新聞広告では、「早慶近」という大きな見出しとともに、偏差値に基づく「早慶上理」「関関同立」などの旧来の大学序列に疑問を呈し、新たな価値観による大学選びを提案したインパクトのある内容で話題になり、同大学の売り込みに大いに貢献したものと考えています。地方自治体においても、同様に、厳しい地域間競争の中で、みずからの地域をいかに売り込んでいくのか、そのアピール力を高めることが重要であります。そこで、国内外に向け、宮崎をどのように売り込んでいくのか、知事にお伺いします。 次に、知事は、「徹底した現場主義」「対話と協働」「市町村重視」を政治姿勢に掲げられ、知事就任以来、県内各地を積極的に回り、県民の皆さんとの対話に努めておられます。例えば、その一環として、知事が直接市町村に出向き、地域住民の皆さんと「知事とのふれあいフォーラム」を、また、市町村職員と「役場でくるまthe談義」を開催されております。さらに、各種団体や企業の方々ともさまざまな意見交換を行われております。じかに話を聞き、それを県政運営に生かしていく姿勢は、県のリーダーとして、また政治家として大変大切なことだと私も考えております。これまでの取り組み成果を踏まえた知事のお考えをお伺いします。 次に、南海トラフ地震・津波対策についてお伺いします。 国は、東日本大震災の教訓を踏まえ、海溝型地震に対応するため、海底に地震計などを設置し、地震・津波の早期検知が可能となる対策へ移行しようとしています。現在、熊野灘沖、室戸岬沖の南海トラフ沿いには、地震・津波観測監視システム(DONET)の観測網が整備されていますが、日向灘海域は未整備であります。文部科学省は、来年度予算の概算要求で、同海域への海底観測網整備に向けた調査費を盛り込むとの報道がありましたが、日向灘海域への観測網の早期整備は待ったなしの状況であり、今後、県としてどのように対応していくお考えなのか、知事にお伺いします。 以上で壇上からの質問を終わり、以下、質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 まず、宮崎の売り込みについてであります。私は、これまで、国内外でのトップセールスや、「ひなた」プロモーションなどの官民の力を結集した取り組みによりまして、宮崎ならではのさまざまな魅力というものを積極的に売り込んできたところであります。近畿大学の例を御紹介いただいたわけでありますが、強みを生かしていくこと、そしてアイデア豊富に取り組んでいくこと、大変重要なことであろうかと思っております。宮崎でいえば、豊かな食や恵まれた生活環境、スポーツランドなどは、アピールすべきポイントであろうかと思います。また、海外に向けて売り込んでいくということになりますと、私ごとで恐縮ですが、外国語も含めて海外でのアピールというものは比較的できるのではないかと考えておるところであります。スポーツの聖地としてのブランド力の向上を初め、大型案件を含む企業立地や農畜産物の海外輸出の拡大など、一定の成果が出てきているものと考えております。今後、ますます地域間競争が厳しくなる中で、宮崎が勝ち残っていくためには、御紹介いただいた近畿大学のような柔軟な発想やアピール力のある取り組み、そして、宮崎の強みをより強く発信していくという思いのもとに、また、特に海外に向けてはネットでの発信というのも大変重要だと考えております。引き続き、私が先頭に立って、オールみやざきの体制により、全力で宮崎を売り込んでまいりたいと考えております。 次に、県民からの声を県政に生かしていく取り組みについてであります。私は、「対話と協働」を県政運営の基本としております。知事就任以来、あらゆる機会を捉えまして、市町村、企業、各種団体、県民の皆さんとの対話や交流を行い、そこでいただいたさまざまな御意見や地域のニーズを、可能な限り施策に反映させるよう努めてまいりました。議員の御質問にもありました、「知事とのふれあいフォーラム」や「役場でくるまthe談義」などにつきましても、これは平日開催されるものですから、参加者の皆様、また、地元市町村の皆さんにも大変御尽力をいただく中で開催しておりますが、地域の課題などにつきまして率直に語り合う場として、同席される市町村長等とも認識を共有できる場ともなっておりますし、双方向のコミュニケーションの大変貴重な機会になっているところであります。そのような中で、例えば若者の定住促進や有害鳥獣被害対策など、本県の重要課題につきまして地域の御意見を伺い、施策の構築なども行ってきたところであります。今後とも、県民の皆様の声に真摯に耳を傾け、「対話と協働」、また、「徹底した現場主義」による県政運営に取り組んでまいりたいと考えております。 最後に、DONETの早期設置についてであります。地震・津波観測監視システム(DONET)は、従来よりも、地震の発生を最大10数秒程度、津波の発生を10分程度、早期かつ正確に検知することが可能なため、より迅速な避難への活用が期待できるところであります。現在、日向灘海域はDONETの空白地帯となっているため、早期整備について、国に対し繰り返し要望を行ってきたところでありますが、今回、文部科学省の平成30年度予算の概算要求に日向灘海域への設置を検討するための調査費用が盛り込まれたところであります。県といたしましては、今後、必要な調査費や早期整備に向けた予算確保につきまして、現在、連携を深めております「南海トラフ地震対策に関する10県知事会議」とも連携しながら、国に対し強く働きかけてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(松村悟郎議員) 冒頭で述べた近畿大学の新聞広告は、正月に出されたものですけれども、同じように、7月14日、これは「大学の実力を知る」という新聞広告でありますが、この中で、「早慶近」という言葉にひっかけて、「早々に慶びが近づきました」というコメントを入れて、第33回読売広告大賞まさかのグランプリ受賞ということで、最大の評価を受けている新聞広告であります。広告は、物を売るためのアイテムではありますけれども、広告も日本一を目指す、そういうつもりで取り組んでいただければと。知事を先頭にお願いしておきたいと思います。 また、地域の声を県政に生かす姿勢には、私も同感です。特に、市町村職員を対象にした「くるまthe談義」については、地方創生の取り組みで仕事がふえる一方で、行革による職員数の減少が市町村職員の過重な働きを助長しているという現状も伺ったと聞いております。県庁内でもそうですが、働き方改革も市町村長とも連携して進めていただきたいと思います。 それでは、次に移ります。総合交通対策についてお伺いします。 JR九州は、本年7月に、鉄道の区間別の利用状況を公表されましたが、県内では特に吉都線や日南線で大きく減少しているようです。利用者が少ない路線については、経営判断として利便性を高める投資が行われず、さらに利用者が減っていくこととなり、このままでは路線の維持に大きな影響が出るのではないかと思います。そこで、鉄道の利用者が大きく減少している本県の現状について、県はどのように受けとめているのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) お話にありましたように、JR九州は、本年7月に、鉄道の区間別の利用者数を示す指標となります「1日1キロメートル当たりの平均通過人員」を初めて公表いたしました。この指標は、JRが発足した昭和62年度と平成28年度との比較となっておりまして、本県関係の路線では、日豊本線の一部区間を除いて各区間とも減少しております。特に日南線では約半分、吉都線では約7割も減少するなど、大変厳しい状況にあると改めて認識したところでございます。今後、経年的に数値が示されることとなりますが、沿線の人口減少の流れもありまして、このまま利用が減り続ければ、県内鉄道の維持に影響を与える懸念があると考えているところでございます。 ◆(松村悟郎議員) JR九州としては、現時点での路線廃止の考えはないが、今般の公表により鉄道事業の現状を地域の利用者に伝え、将来的な存続のための議論の活発化を期待しているとの報道もなされています。これは、路線存続のために県、市町村の何らかの取り組みが求められているものと考えますし、路線存続を願う沿線住民の願いも大変強いものがあると思います。そこで、利用の少ない路線存続のために県はどのように対応されるのか、総合政策部長にお願いします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 特に利用者が減少しております日南線、吉都線では、これまでも沿線自治体と連携の上、それぞれの地域の取り組みを支援しているほか、外国人利用も増加している観光列車「海幸山幸」の平日臨時運行の支援等を行っているところでございます。県としましては、まずは沿線自治体とともに、「地域がみずから乗って残す」という意識のもと、県民の利用の促進に取り組んでまいります。また、日南線、吉都線の魅力を対外的にもアピールしながら、県外を初め、他の地域からの利用も伸ばしていく必要があることから、官民一体となった利用促進策を展開していくなど、沿線自治体と連携しながら、さらなる取り組みの強化を検討してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、ソラシドエアについてお伺いします。本県に本社を置くソラシドエアは、本年8月1日に就航15周年を迎えられ、今後、さらなる飛躍が期待されるところであります。4月に発表されました中期経営戦略によりますと、「地域と世界を繋ぐグローバルエアラインに進化する」という経営ビジョンのもと、今後は、国内線では路線の拡大、国際線ではチャーター便で経験を積み、将来的には定期便を目指すとされています。以前の名前は「スカイネットアジア航空」でありましたが、まさにアジアに向けて大きく羽ばたこうとしている会社であります。そこで、ソラシドエアが15周年を迎えましたが、県として今後どのようなことを期待しているのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) ソラシドエアは、本県に本社を有する唯一の航空会社でありまして、県民の翼として、また九州・沖縄の翼として、本県発着の羽田線や沖縄線を初め、国内10路線を運航しておりまして、本年3月期の決算において10期連続で黒字となるなど、順調に成長を続けておられるところであります。また、使用する機材に自治体の名称を表示します「空恋プロジェクト」など、本県のPRにも多大な貢献をいただいております。本県を代表する地場企業として、大変誇らしく、その動きについて受けとめているところであります。同社には、これまでも、県内産業の振興や雇用の創出、また本県のイメージアップなど、さまざまな分野で貢献していただいておるところでありますが、今後、海外にも積極的に路線を展開されるということでありますので、県としましては、当社がますますそうした事業展開をされ、県民のさらなる利便性の向上でありますとか地域の振興に貢献いただくことを期待しているところであります。 ◆(松村悟郎議員) ソラシドエアの国際線については、定期便化を目指しているものの、今のところ未定とのことでありますが、何よりも本社が宮崎にあることが重要であり、本県経済の活性化や雇用の創出など、多大な貢献をされているところであります。本県に本社を置くグローバル企業が少ない中、ソラシドエアは、15周年を迎えられたのを契機に、積極的に海外展開を図ることとしており、今後も大事に育てていく必要があると考えております。そこで、ソラシドエアが海外展開するに当たって、県としても協力していくべきだと思いますが、どのように考えておられるのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 国際定期路線は、インバウンドの拡大を初め、本県が海外との交流を推進していく上で、欠かすことのできない重要な交通基盤でございます。ソラシドエアにおかれましては、現在保有しております機材を有効活用いたしまして、チャーター便の運航を継続的に実施するほか、機材を新たに2機ふやし、2019年度中に国際定期路線の就航を目指すとされているところでございます。県といたしましては、県民の利便性向上などのためにも、宮崎空港発着の路線の開設に向けて働きかけを行うとともに、仮に就航することとなった際には、利用促進など協力してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、ソラシドエアが県内企業として今後とも発展されるよう、引き続き、既存路線の利用促進や関係機関との連携などに努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、客貨混載輸送についてお伺いします。近年の高齢化社会の進展に伴い、運転免許を返納される高齢者も増加する中で、通院や買い物などに利用する路線バスなどの公共交通網の重要性が高まっていますが、特に山間部を中心に利用者数が減少しており、その維持が大きな課題となっています。また、物流の分野でも人手不足が生じており、宅配便の集貨や配送の効率化が求められております。このような中で、利用者の少ないバスの空きスペースを活用して荷物を運び、バス収益性を高める、いわゆる客貨混載輸送について、宮崎交通が先進的に取り組まれております。現在はどのように進展しているのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 路線バスの空きスペースを利用して宅配便を輸送する客貨混載輸送につきましては、平成27年10月に西日本で初めて、西都市と西米良村を結ぶ路線バスで始まりまして、昨年6月からは、地域のニーズに応えて、延岡市と高千穂町、日向市と諸塚村を結ぶ2路線にも拡大されました。これらの取り組みによりまして、山間部のバス路線の収益性向上に加えまして、宅配便収集時間の延長など、住民生活の利便性向上が図られているところであります。さらに、本年1月からは、西都市と西米良村の間で、全国で初めて、保冷専用ボックスを搭載したバスの運行が始まりまして、西米良村名産の「西米良サーモン」を初め、温度管理が必要な物品の輸送が可能となったところであります。このことは地域の物流にも寄与していくものと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 客貨混載輸送については、本県では路線バスにおいて効果を上げられているようですが、この9月からは、国において規制緩和がなされ、過疎地域では、貸し切りバスやタクシーで荷物を運んだり、トラックで人を運ぶことも可能になったようです。人口減少に伴い、輸送需要の減少が深刻な課題となっている過疎地域において、従来と異なる新しい事業展開も可能になるのではないかと考えます。そこで、客貨混載輸送の規制緩和について、多くの過疎地域を抱えている本県としてどのように考えているのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) お話にありましたように、客貨混載輸送につきましては、路線バスでは少量の荷物に限って認められておりましたが、この9月からは重量制限が緩和されたほか、人口3万人未満の過疎地域の市町村では、貸し切りバスやタクシーで荷物を運んだり、貨物用トラックで人を運ぶことも可能となりました。いずれも貨物運送や旅客運送の許可が新たに必要となりますが、人口が減少する地域において、バスやタクシーの収益が改善したり、貨物を運送する際に、途中経路に目的地のある旅客を乗車させることで、運送の効率化が期待されます。既に県バス協会やトラック協会等には情報提供を行ったところでございまして、県といたしましては、各事業者の取り組み等により、過疎地域における交通・物流体系の維持につなげてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) ありがとうございました。陸海空、それぞれ大切な県民の足となっており、本県の産業文化、あらゆるものを支える物流ネットワークであります。特にソラシドエアは、本県に本社を構える数少ないグローバル企業の一つでもあり、宮崎からアジアに大きく羽ばたいていく航空会社に育つことを期待しております。いずれにせよ、それぞれ県民の期待と事業者利益がウイン・ウインになれるような取り組みを期待しております。 次に、自殺対策についてお伺いします。ことし6月に、平成28年の人口動態統計が発表されました。その中で、本県の自殺者数は205名、人口10万人当たりの自殺者数をあらわす自殺死亡率は18.8ポイントと、平成27年に比べ、自殺者数はマイナス50名、死亡率はマイナス4.4ポイント、全国順位もワースト3位から10位と大きく改善している状況です。これは、県がこれまで取り組んできた自殺対策に一定の効果があったと捉えておりますが、これまでどのような対策がとられてきたのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 県では、「宮崎県自殺対策行動計画」に基づき、市町村や関係機関等と連携しながら、自殺対策を推進しております。具体的な取り組みにつきましては、うつ病や自殺に関する知識の普及・啓発を行っているほか、保健・医療・福祉の現場などで、悩みを抱える人に声をかけ、必要な支援につなげる「ゲートキーパー」の育成、電話相談やワンストップ相談会の実施など、自殺対策の基本となる対策に取り組んでおります。このほか、高齢者が気軽に集うことのできる「茶飲ん場」などの居場所づくり、働き盛り世代の相談・受診促進のためのポータルサイトや検索連動型広告の導入、また、うつ病の早期治療を促進するためのかかりつけ医と精神科医との連携体制の構築、さらには、自殺未遂者を精神科の受診につなげる支援など、ハイリスク層への対策にも重点的に取り組んでいるところであります。 ◆(松村悟郎議員) これまでの自殺対策については一定の効果があるとはいえ、平成28年の全国自殺死亡率の平均値は16.8ポイント、本県が2ポイント上回っていることを考えると、まだまだ楽観できない深刻な状況であると思います。また、本年7月に閣議決定で見直された「自殺総合対策大綱」によれば、国は、平成38年までに、全国の自殺死亡率を先進諸国と同じレベルの13ポイントまで減少させるとしています。本県の自殺者のさらなる減少を図るため、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 平成28年の自殺者数は、一番多かった平成19年以降では最も少ない状況となりまして、これまでの対策に一定の手応えは感じておりますが、10代から30代の減少割合が鈍いことや、市町村において、より地域に根差した自殺対策の必要性など、さまざまな課題も見えてきたところであります。今後は、こうした課題に対応するため、国の新たな自殺総合対策大綱の内容も踏まえながら、これまでの対策の充実を図るとともに、若い世代や働き盛り世代への対策につきまして、教育機関や民間団体などとより一層連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。また、本年12月には、市町村長を対象としたトップセミナーを開催するほか、今年度中に、県に自殺対策推進センターを設置し、市町村の取り組みに対する支援を強化してまいりたいと考えております。「ひとりで悩まないで!」ということで、このメッセージなどを届けておるところでありますが、今後とも、あらゆる場面での支え合いのネットワークを築き上げ、あらゆる世代が自殺に追い込まれることのないよう、そういう地域社会づくりに努めてまいります。 ◆(松村悟郎議員) 次に、認知症対策についてお伺いします。国の「認知症施策推進総合戦略」によりますと、我が国の認知症の人の数は、2025年には約700万人へとふえる見込みであります。また、本県においても、2015年の5万人から、2025年には7万人に達する見込みであります。認知症の問題がより身近なものになってきています。そのような中、認知症の人が住みなれた地域で自分らしく暮らし続けるためには、行政や医療・介護の関係者はもとより、地域の住民が、認知症について正しく理解し、対応する必要があります。例えば、現在、県内に延べ約10万人いる認知症サポーターが、認知症対策の担い手として地域で活躍できるような取り組みも、今後必要になってくるのではないかと思います。そこで、認知症対策について、地域が一体となって支える「認知症の人に優しい社会」の構築に向けて、県としてどのように取り組んでいるのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 認知症の方やその家族が、住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、医療・介護の連携や、地域全体での支援体制の充実が重要であります。このため県では、医療相談や専門医療の提供を行う「認知症疾患医療センター」を設置するほか、医療従事者や介護職員を対象とした研修を実施しております。また、認知症の早期診断・早期対応の体制整備を図るための「初期集中支援チーム」や、地域のつなぎ役となる「認知症地域支援推進員」について、平成30年4月までの全市町村配置を目指しております。今後は、これらの取り組みとともに、議員から御紹介がありました「認知症サポーター」の活躍の場をさらに広げるなど、地域全体で認知症の方やその家族を支えられるよう、市町村や関係機関と連携して、認知症支援策の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、子供政策についてお伺いします。児童虐待などのさまざまな事情により、家庭で生活することができず、児童養護施設等で生活する子供たちがいます。県では、現在、こうした子供たちに家庭的な養育環境を確保するため、施設の小規模化や地域分散化、里親委託の推進に取り組まれております。そのような中、平成28年の児童福祉法改正では、実親による養育が困難な場合には、特別養子縁組等を推進することとされ、また、厚生労働省の有識者会議では、その数値目標が示されたところであります。私も、法的に新たな養育者と実の親子関係を構築する特別養子縁組は、子供に家庭という新たな未来を確保するという意味において、重要な選択肢の一つだと考えます。県では現在、里親委託を推進しておりますが、その現状と、今後、特別養子縁組をどのように進めていくのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 県では現在、家庭的養護推進計画に基づき、里親委託を推進しておりますが、登録数は平成28年度末現在で121世帯となっており、そのうちの38世帯に対し、49名の児童が委託されております。特別養子縁組を含めた養子縁組制度につきましては、この里親委託に取り組む中で、将来にわたって実親との生活が困難なケースについて、特別養子縁組制度等の活用に向けた支援を行っているところであります。現在、国におきましては、家庭養育が困難な児童に、家庭と同様の養育環境を提供する有効な選択肢の一つとして、この特別養子縁組の推進に向けた制度改正が検討されていると伺っているところです。県としましては、その動向を注視しつつ、児童にとって最善の支援が行えるよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) また、県では、子供の貧困について、「宮崎県子どもの貧困対策推進計画」を策定し、民間とも連携しながら対策に取り組まれております。こうした中、宮崎大学や宮崎日日新聞などと県が参画する「宮崎県の子どもの貧困に関する連携推進協議会」では、「こども未来基金」として、児童養護施設を卒業する高校生2人に対し、返済不要の奨学金を支給する新たな取り組みを始められております。児童養護施設で暮らす子供たちは、原則、18歳を過ぎると施設を離れる必要があります。この基金は、熱い思いを持った企業や民間からの寄附を財源とし、保護者からの支援が期待できない中でも進学をしたいという高い志を持った、未来の社会を担う子供たちを支えていく、民間が主体となったすばらしい取り組みであります。今後、「こども未来基金」を初めとする民間の活動を県はどのように支援していくのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 「こども未来基金」は、児童養護施設に暮らす子供たちが進学の夢を閉ざさないための、民間が主導する大変有意義な奨学金であると考えております。また、現在、県内では、子ども食堂や学習支援、フードバンクなどの民間主体の取り組みが活発になってきており、こうした民間の活動を支援していくことが、子供の貧困対策を進めていく上で大変重要であると認識しております。県としましても、「こども未来基金」の運営に積極的にかかわるほか、子供の支援を行う人材の育成に努めるとともに、子ども食堂などに取り組むNPO団体等ともさらに連携の強化を図るなど、支援の輪を広げるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) ハンディのあるなしにかかわらず、子供たちが同じように未来への夢を描けるチャンスがあるということは、当事者だけではなく、長年、児童養護に携わる関係者にとっても大きな励みになると思います。それぞれの取り組み、支援をよろしくお願いします。 次に、「みやざき結婚サポートセンター」についてお伺いします。同センターは、県が少子化対策の一環として、結婚を希望する独身男女に出会いの機会を提供することを目的に、平成27年に開設したものでありますが、意中の人にめぐり会える機会が少ない方々にとっては、大きなよりどころになっていると思います。今後、一組でも多くのカップルに結婚していただき、幸せな家庭を築いていただきたいと思っていますが、「みやざき結婚サポートセンター」のこれまでの事業の成果と、成婚カップルをさらにふやしていくための今後の取り組みについて、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 「みやざき結婚サポートセンター」につきましては、開設した平成27年度末の会員数は645名でありましたが、本年8月末現在、1,389名に倍増しております。また、平成27年度は成婚実績はありませんでしたが、本年8月末までには累計18組の成婚を数えるまでになっております。さらに、これから入籍予定のカップルも複数おられると伺っており、着実に成果が上がってきているものと考えております。この事業は、少子化の原因の一つである未婚化、晩婚化が進行する中、重要な取り組みであると認識しておりますので、今後とも、企業訪問等による会員拡大を図るとともに、会員の方々の思いに応えるために、お引き合わせの増加につながるマッチングの充実や会員同士の定期的なイベント開催など、魅力的な出会いの機会の創出にも積極的に取り組み、成婚カップルのさらなる増加につなげてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 短い期間でよく成果が出ていると思います。今後とも期待しております。 次に、民生委員の確保についてお伺いします。民生委員制度は、ことし、制定から100周年を迎えました。民生委員の皆様には、地域福祉のかなめとして、課題を抱えた方々に寄り添い、関係機関につなぐ活動など、積極的に展開されており、本当に頭の下がる思いであります。一方で、その活動が地域に根づいたものであるがゆえに、時には見えにくく、また、役割が年々増加するなど、大変御苦労をされております。また、無報酬ということもあり、民生委員として働きたいという方は少ないと伺っております。民生委員の活動や役割への期待が高まる中、その確保が大変重要だと考えております。県としてどのように取り組まれるのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(畑山栄介君) 民生委員の皆様におかれましては、地域住民のよき隣人として、日々、献身的で地道な活動に取り組んでいただいておりますが、地域社会の変容や複雑・多様化する福祉課題への負担感などから、市町村においては、なり手の確保に苦慮しているところでございます。県では、民生委員の顕彰や活動費の支援を通じて、活動環境の充実に取り組んでいるところであり、さらには、民生委員制度創設100周年を好機と捉えまして、大学生を初めとする若い世代にも参画いただきながら、民生委員の役割や、やりがい等について、県民に効果的に周知してまいりたいと考えております。こうした取り組みを通じ、若い世代を含め、多くの県民が地域福祉や民生委員の活動に関心を持つことで、将来のなり手の確保につなげていきたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、特定外来生物対策についてお伺いします。 ことし6月に、特定外来生物であるヒアリが神戸市で確認されて以来、港湾施設など、中国等から輸入されたコンテナなどで相次いでヒアリが確認されています。ヒアリなどの特定外来生物は、繁殖力が旺盛で、一度侵入すると駆除に莫大な労力を要することとなります。本県では、現在のところ、ヒアリの侵入は確認されておりませんが、人的被害も懸念されています。そこで、危険な外来昆虫「ヒアリ」を初めとする外来生物に対する県の対応について、環境森林部長にお伺いします。
    ◎環境森林部長(川野美奈子君) おおよそ2,000種と言われる外来生物のうち、人に危害を与えるなど注意が必要なものにつきましては、県内に入れない、県内での生息域を広げない対策が重要であります。このため、環境森林部におきましては、ホームページ等を通じた注意喚起や、環境省などと連携した生息調査の実施、さらに、市町村等に対する駆除の要請などを行っているところでございます。特にヒアリにつきましては、攻撃性が強く、また、旺盛な繁殖力を持ち、定着すると完全な駆除が困難となります。このため、県内に入れない対策としまして、ポスターやチラシの配布などにより、県民にヒアリの特徴等を周知するとともに、県への情報提供の呼びかけを行っているところでございます。また、あわせて、県民からの相談への対応や、ヒアリかどうかの確認作業を迅速・的確に行うなど、関係機関と連携しながら、監視体制の強化に取り組んでいるところでございます。 ◆(松村悟郎議員) これまで全国で発見されているヒアリは、主に中国から輸入されたコンテナについてきたようですが、中国のほか、台湾でもヒアリが定着して生息域を拡大していると聞いています。本県においても、中国や韓国との定期航路を持つ細島港や油津港などがあり、こうした港における水際での侵入防止対策は極めて重要だと考えております。そこで、ヒアリの侵入を防ぐために、本県の港湾ではどのような対策が行われているのか、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 本県港湾のうち、御質問にありました、海外との定期コンテナ航路がある細島港及び油津港において、ヒアリの侵入防止対策を行っているところであります。具体的には、コンテナを取り扱う港湾事業者に注意喚起を行うとともに、税関など国の関係機関も含め、日常的な目視点検を行っております。また、コンテナヤードの周囲に捕獲トラップを設置して、定期的にヒアリの有無の確認を行っており、これまでのところ、ヒアリは確認されておりません。さらに、ヒアリが侵入しても定着しないよう、国土交通省により、コンテナヤードの舗装のすき間やひび割れを塞ぐ緊急工事が行われたほか、万が一発見されたときに備え、環境省により、駆除するための餌も用意されているところであります。今後とも、関係機関と連携を図りながら、万全の体制でヒアリの侵入防止対策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、県産材の利活用についてお伺いします。 東京オリパラまであと3年を切りました。大会においては、国民全体で盛り上げる取り組みの一つとして、新国立競技場の大会関連施設の建設において、日本の伝統・文化が感じられるよう、木材を使用する方針が示されております。今まさに、大会の関連施設は建設の佳境に入っており、7月には、選手村ビレッジプラザへの木材提供の公募が大会組織委員会から発表されるなど、木材の調達方法や利用の形態など、具体的な動きが出てきています。県産材利用は、林業県としてのアピール、さらには県民全体で大会を盛り上げる絶好の機会であり、県民の期待が高まるばかりです。そこで、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会における県産材の利活用に向けた取り組み状況と今後の見通しについて、環境森林部長へお伺いします。 ◎環境森林部長(川野美奈子君) 県では、大会組織委員会を初め、建設会社や商社を訪問し、オリパラ関連施設の整備で、本県が十分貢献できることを、本年度に入り、さらに強くアピールしてきたところでございます。このうち新国立競技場の建設では、大屋根のはりなどについて、全て森林認証材が使用されることが条件となっていることから、認証材を供給する県内産地と一体となり、県産材ができるだけ多く使われるよう、鋭意、商社と交渉を行っているところでございます。さらに、選手村ビレッジプラザへの木材提供につきましても、県産材をアピールできる絶好の機会でありますので、本日、大会組織委員会へ応募したところでございます。今回のオリパラ関連施設で使用される木材は、全国から調達される見込みでありますが、本県は全国有数の林業県でありますので、より多くの県産材が活用されるものと期待しているところであり、また、その実現に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。 ◆(松村悟郎議員) ビレッジプラザの応募は、本当に積極的な姿勢だと思います。これもなかなかハードルは厳しいと思いますけれども、まずは応募すること、宮崎をアピールすることだと思います。 それでは次に、直交集成板(CLT)の活用・普及についてお伺いします。本県は、豊富な森林資源が利用期に入り、杉素材生産量は26年連続日本一となっております。その素材は、主に個人住宅分野の建築資材として利用されておりますが、今後、人口減少社会の到来を考えますと、住宅分野以外での県産材需要拡大が必要であります。このような中、国は、「CLTの普及に向けたロードマップ」を公表し、建築基準の整備や実証的な建築の支援などを行い、全国で既にCLTによる建築事例も広がりつつあります。欧米でも既にCLTが利用された中高層建築物も珍しくなく、これまで木材を利用されてこなかった分野においても、CLTの活用による新たな木材需要を創出していかなければなりません。そこで、本県のCLTの活用・普及に向けた取り組み状況について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(川野美奈子君) 県では、CLTを含めた県産材の需要拡大を図るため、副知事をトップとする県産材利用推進委員会を設置し、県有施設での積極的な活用を進めるとともに、民間施設等への普及啓発を行っているところであります。こうした中で、県有施設については、本年度着工予定の防災拠点庁舎において、CLTを活用することとしているところでございます。また、CLTを活用した宮崎大学の交流会館や木材関連企業の社屋の施設整備に補助を行い、民間施設等への普及に努めているところでございます。さらに、木材利用技術センターにおきましては、県産杉を使用したCLTの利用促進に向け、試験研究を進めるとともに、センターに開設している木構造相談室において、民間施設等に対する設計指導等の技術支援を行っているところでございます。 ◆(松村悟郎議員) CLT建造物については、全国で既に平成29年3月時点で44事例が竣工済みであります。現在、建築中の物件もあるようです。杉素材生産日本一の宮崎県だからこそ、CLT建造物普及も先頭を走ってほしいと思います。地元児湯地域でも、公共施設での案件があると伺っております。公共施設に限らず、民間集合住宅など、県内需要を積極的に掘り起こしていただきたいと思います。 次に、県産品の販路拡大についてお伺いします。出荷量で3年連続日本一となった本県の焼酎の多くは、県外で販売されております。多額の外貨を稼いでいる本県最大のフードビジネス産業であります。その焼酎も、輸出に関しては国内全体でも15億円に満たないなど、150億円以上も輸出している日本酒に大きく水をあけられている状況であります。人口減少が進行し、国内マーケットの縮小が懸念される中、海外に販路を求める傾向は、今後ますます強くなっていくものと思います。本県の強みである焼酎産業を海外に向けてさらに伸ばしていくための取り組みが重要になってくるものと考えます。 このような意味で、先月、アメリカ・ロサンゼルスに官民一体の焼酎輸出促進協議会が設立され、この発足式に知事が立ち会われるとともに、全国の自治体に先駆けて、知事自身がアメリカで焼酎のトップセールスを行ってこられたということは、今後、焼酎の輸出拡大を図る上で、大変重要な一歩ではなかったかと思います。そこで、知事に、今回の焼酎輸出に向けたアメリカでのトップセールスの手応えと、今後の県の取り組みについてお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回のアメリカ訪問では、原議長や県内の蔵元9社の皆様とともにロサンゼルスを訪れ、焼酎輸出促進協議会の設立総会や記念レセプション等に出席して、焼酎のプロモーションを行ってきたところであります。さまざまな焼酎を試飲していただく中で、ユズやショウガをまぜたような商品に強い興味を示していただくなど、現地のニーズというものがさまざまであるな、好みがさまざまであるなと。それに合わせた対応を図っていく必要があるということを感じたところであります。また、現地の有識者からは、焼酎の芳醇な香りや、糖質を含まない健康的なイメージなど、焼酎の可能性に期待する御意見のほか、焼酎の知名度を高め、本気でアメリカに売り込むには、相当な覚悟でもって腰を据えて取り組む必要があるという御指摘もいただいたところであります。 このような中、焼酎を売り込むための協議会が、初めて国外で設立されたわけであります。バイヤーや有識者、また政府関係機関など、立場を超えてこういう組織ができたこと、また、単発的なプロモーションではなく、持続的にそういう協議会で協議・検討を行いながらフィードバックを行っていく、そういう仕組みができたことは大変意義深いことであると考えておりまして、この枠組みを活用して、アメリカ市場の扉を開いていくことができるのではないか、その伸び代を埋めていくことができるのではないかと、手応えを感じているところであります。また、さまざまな政治、経済、文化、情報の発信拠点であるアメリカの市場を開いていくことになれば、それを世界に向けて強く発信できるものと感じておるところであります。県としましては、今後とも、この協議会やジェトロ等としっかり連携し、商談機会の提供や商品開発の助言を行うなど、継続的に生産者の支援を行いながら、アメリカでの、また、さらに世界に向けた焼酎の販路開拓に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、新宿みやざき館KONNEのリニューアルについてお伺いします。宮崎の食の魅力を効果的に発信するための取り組みの一つとして、施設の2階部分を飲食コーナーとし、その運営を行う民間事業者としてエー・ピーカンパニーが選定されたところであります。この事業者は、地鶏を初め、本県の多くの食材を活用し、国内外で飲食事業を幅広く展開している事業者であるとお聞きしております。そこで、今回選定された事業者に対してどのようなことを期待し、今後、事業者と連携し、どのように宮崎の魅力を発信していくのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) レストラン運営予定の事業者からは、本県の農産物をふんだんに使用した和食コース料理やカフェメニューの提供、旬の食材によるフェアの開催に加え、自社の会員220万人に対する情報発信など、魅力的な提案をいただいております。また、この事業者は、本県産食材のよさを熟知しておりまして、それらをニーズに合わせて提供することで、本県の食の魅力を直接伝え、その認知度向上につなげることができるものと、大いに期待しているところでございます。県としましては、事業者が持つすぐれた企画力や情報発信力を活用しながら、KONNEへの集客を図るとともに、2階のレストランと1階の物販コーナー、観光情報コーナーを連携させ、県産品のPRやイベントを実施するなど、本県のさまざまな魅力を首都圏に発信してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、宮崎版DMOについてお伺いします。国は、観光による地域の稼ぐ力を引き出すために、一昨年から日本版DMO候補法人登録制度を開始したところです。みやざき観光コンベンション協会を初め、県内各地域でも登録の動きが広がっております。私としては、DMOが提唱される以前から、湯布院などでは、DMOが目指すような魅力ある観光地づくりが行われてきたのではないかと感じています。今後、観光コンベンション協会では、魅力ある観光地域づくりに向けて、市町村の観光協会と連携した取り組みを行っていくと思いますが、これまでの取り組みと何が違うのか、イメージしにくいと考えております。そこで、宮崎版DMOの取り組みについて、地域の観光がどのように変わっていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 宮崎版DMOの取り組みは、多様化する観光客のニーズに対応しながら、宮崎らしい新たな観光商品を生み出し、観光消費額の増加につなげることにあると考えております。このため、まずは、地域の観光を支え、リードする人材づくりが重要でありますので、観光みやざき創生塾を開設し、その育成に努めているところであります。また、みやざき観光コンベンション協会に専門人材を新たに配置し、地域の資源を生かした新たな取り組みや、広域での周遊ルートづくり等について、各地域の観光関係者だけでなく、農林水産業などの多様な関係者も巻き込みながら、検討を進めているところであります。今後、このような取り組みを継続的に行うことで、地域みずからが考え、稼ぐことのできる持続可能な観光地域づくりを実現してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、カジノを含む統合型リゾート、いわゆるIRについてお伺いします。IRに関しては、昨年12月にIR推進法が成立し、先月1日に、IR推進会議の報告書が本部長である内閣総理大臣に提出されたところです。その後、全国9カ所において、幅広い国民の意見を踏まえるための公聴会が開催され、賛成・反対を含め、さまざまな意見が出された模様です。今後、政府は、IR推進会議の報告書をベースに、公聴会やパブリックコメントの意見を踏まえて、IR実施法案を取りまとめ、秋の臨時国会に提出する見込みであるとのことであります。そこで、このような国の取り組みも踏まえ、県としてIRについてどのように考えるのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) IRにつきましては、経済の活性化や観光浮揚等が期待される一方で、ギャンブル依存症や青少年の健全育成対策のほか、地方での実現可能性など、さまざまな課題があるものと考えております。県といたしましては、現在、国において検討がなされておりますIR実施法案において、カジノが抱える課題に対し、制度上の措置が十分になされるのか、国が想定するIRの規模等が地方の実態に即したものになるかなど、引き続き情報収集に努めまして、中長期的な視点も持ちながら検討してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、労働力の確保についてお伺いします。先日、今年度の各都道府県の最低賃金が決まりました。今回、昨年度の額を23円上回り、737円となり、本県と同じ額が8県にふえましたが、最下位には変わりなく、また、東京との格差はさらに広がることとなりました。求職者が求める条件はさまざまだと思いますが、やはり給与面は重要な要素だと考えます。本県の賃金が低い状況は、若者の県内就職を促進する上でもマイナスであり、現在の売り手市場の中で、賃金水準が高い東京や大阪などに、今後ますます人材が集中するのではないかと危惧しています。このような中、若者を初めとする労働力の確保に、県はどのように取り組むのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 若者など求職者が企業選択の際に求める条件はさまざまでございますけれども、給与も重要な要素の一つであると考えております。このため県では、フードビジネスなど成長産業の振興や、中核企業の育成、企業立地の推進などによりまして、給与面も含めた良質な雇用の場の創出に努めているところでございます。一方で、仕事のやりがいや会社の成長性など、給与だけでは語れない県内企業の魅力や、物価の安さ、子育て環境など、都会にはない宮崎の魅力もしっかり発信していく必要があると考えております。また、働きやすい環境づくりも重要でありますので、ワーク・ライフ・バランスの推進にも取り組んでいるところであります。今後とも、若者が宮崎で働きたいと思えるよう、これらの取り組みを積極的に進め、労働力の確保につなげてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、改正労働契約法に基づく「無期転換ルール」についてお伺いします。有期雇用で働く人が契約更新を継続し、通算5年を超えた場合には、期間の定めのない無期雇用に転換できる改正労働契約法の「無期転換ルール」が、平成30年4月から適用されることになります。このルールは、労働者が会社に無期転換する旨を申し出た場合、いわゆる正社員にするという内容であります。これは、労働者と経営者の双方にとって大変大きな制度改革でありますが、その内容をいまだよく理解していない方が多くいらっしゃるのではないかと思います。そこで、改正労働契約法に基づく無期転換ルールの周知・啓発を図っていく必要があると考えますが、県の取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 無期転換ルールは、労使双方にとりまして大きな制度改正でありますが、ルール適用開始まで残り半年ほどとなっております。このため、宮崎労働局におきましては、9月と10月を「無期転換ルール取り組み促進キャンペーン」期間といたしまして、特別相談窓口を設置するとともに、使用者団体への協力要請や説明会の開催など、集中的な周知・啓発に取り組まれているところであります。県といたしましても、これまで、広報紙やホームページなどによりまして、制度改正内容の周知に努めてきたところでありますが、今後とも、労働局と連携しながら、さまざまな機会を捉えて、その周知・啓発に努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、企業立地についてお伺いします。昨年度の本県の企業立地件数は、過去最高となる49件でありました。この中には、東証一部上場で航空機部品の世界的企業関連の宮崎日機装株式会社も含まれています。設備投資額170億円、新規県内雇用者500人という大型の立地案件であることから、私自身も、県内の経済基盤の強化につながっていくものと大いに期待しております。県外から宮崎へと立地してもらえば、新たな投資や働く場が生まれ、県外への就職を考えている若者やこれからUターンを考える本県出身者にとって、宮崎に住み、働き続けられる場が提供でき、企業立地の理想的な形になるのではないかと思います。本県の産業集積を高めるためには、地元企業を育てていくのはもちろんですが、高い技術や大きな資本力を持つ県外企業を積極的に誘致していくことも大切だと考えております。そこで、県外企業の新規立地の状況とその促進に向けた取り組みについて、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 県外企業の新規立地の状況につきましては、近年増加傾向にあり、昨年度は、宮崎日機装を含めて23件でありました。そのうち約8割が情報サービス産業となっており、立地地域にも広がりが出てきております。県外企業の立地は、「雇用の拡大」「地域経済への波及」及び「本県の産業構造の高度化」に大きな効果が期待されますことから、県としましては、市町村とともに、県外企業への訪問や各種展示会への出展等を行い、企業情報の収集や本県の立地環境のPRに日々取り組んでいるところであります。今後とも、市町村等と連携しながら、県外企業の新規立地に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、キヤノン社の立地についてお伺いします。先般、宮崎キヤノン株式会社が高鍋町の南九州大学高鍋キャンパスを取得し、新たな工場を建設するとの発表がありました。今回の計画では、キヤノンが実施するグローバルな事業展開の中で、最先端の生産装置を導入し、内製化を進めるとともに、生産機種数の増加に対応するため、工場建設に約230億円を投資し、雇用者数は、現在の約960名から、将来的には1,500名を目指すとのことでありました。南九州大学高鍋キャンパスを、日本を代表する大企業であるキヤノンに有効に活用していただけるめどが立ったことは、私も心からうれしく思っています。キヤノンの立地に至るまでには県としても御苦労があったことと思いますが、今回、南九州大学高鍋キャンパスにキヤノンの工場新設が決定したことについて、知事の所感をお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) キヤノン株式会社は、我が国を代表する電気機器メーカーでありまして、グローバルに事業を展開しておられます。その最先端のデジタルカメラ工場が本県に新設されるということ、また、その活用が課題となっておりました南九州大学高鍋キャンパスに新設されますこと、大変喜んでいるところであります。また、この工場が他県に建設される可能性もあった中で、約1,000名の雇用が守られると同時に、将来的には500名の新規雇用が期待されるところでありまして、これも大変ありがたく感じているところであります。さらに、今回の工場新設は、これまでえてして都会に目が向きがちであった若者の県内就職やUIJターンの促進につながるとともに、地域経済の活性化にも大いに貢献いただけるものと期待をしております。調印式に出席されましたキヤノンの御手洗会長からは、新工場に対する期待と熱い思い、そして、早く整備をしたいんだという思いを伺ったところであります。県といたしましても、平成31年8月の操業開始に向けまして、地元高鍋町とも連携しながら、しっかりと支援してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) よろしくお願いしておきます。 次に、家畜防疫対策についてお伺いします。平成22年に児湯地域を中心として発生した口蹄疫では、約30万頭に及ぶ多くの家畜が犠牲となり、県内経済や県民生活に甚大な影響を及ぼしました。あれから7年の年月が経過しましたが、畜産農家や関係団体の方々が一体となり、着実に復興への道を歩んでいるところであります。また、県内外から多くの激励や応援をいただきましたが、これを象徴するイベントであった「水平線の花火と音楽」が、惜しまれつつ、昨年、ファイナルを迎えました。このような中、ことし10月には、その後継イベントである「口蹄疫メモリアル みやざき食のひなた祭り」が開催されるとのことであります。口蹄疫の再発防止の観点からの取り組みと思いますが、このイベントの意義と効果について、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 口蹄疫からの再生・復興に取り組む中、県内外から多くの方々が参加されました「水平線の花火と音楽」につきましては、県民に大きな希望と元気をいただきました。そこで、このイベントに込められた思いというものをしっかりと受けとめ、今後に引き継いでいくために、県内の農林水産業や商工業団体などと一体となりまして、「口蹄疫メモリアル みやざき食のひなた祭り」を開催することとしたところであります。来る10月29日(日曜日)、神武大祭の日に、宮崎市の大淀川市民緑地を会場にしまして、「忘れない そして前へ」を合い言葉に開催し、全国からの御支援と食の恵みへの感謝の気持ちや、口蹄疫の教訓を決して風化させないという思いを県民に広く発信してまいりたいと考えています。さらに、全国和牛能力共進会の成果を報告しまして、県民とともに喜び、そしてたたえ合う、そんな内容にもしてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 昨年度は、鳥インフルエンザは9道県12農場で発生し、県内でも地元児湯郡では2件の農場で発生しました。昨年度の発生では、自衛隊や建設業界を初め、多くの関係団体の協力により、迅速な防疫措置がなされました。2例で発生をとめられたことは、拡大防止対策が機能した結果だと思います。しかし、一たび鳥インフルエンザが発生すれば、拡大防止対策に多くの費用と人員が必要となることに加え、埋却地周辺での環境問題など、多くの問題が生じますことから、まずは、発生させないことが何より重要であると考えます。そこで、昨シーズンの発生を受けて、鳥インフルエンザの発生防止対策にどのように取り組んでいるのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 昨シーズンの発生につきましては、国の調査結果によりますと、渡り鳥が農場周辺の水辺までウイルスを運び、それを野生動物等が鶏舎に持ち込んだことが要因の一つとされております。このため県では、野生動物によるウイルス侵入防止対策等をわかりやすく図や写真で示した資料を4月に作成・配布しまして、定期的な自主点検と鶏舎等の破損箇所の早期補修を指導しているところであります。その上で、家畜防疫員が992の農場全てを巡回しまして、自主点検内容を確認しますとともに、簡便な補修方法を実演するなどしているところでございます。また、水辺周辺のリスクの高い農場に対しましては、11月以降に再度立ち入りをしまして、発生防止に万全を期すこととしております。さらに、万一に備えた埋却地につきましても、それぞれの農場の立地特性等を踏まえまして、適切に確保するよう改めて指導しているところであります。 ◆(松村悟郎議員) 次に、農業水利施設の老朽化対策についてお伺いします。本県では、数多くの用排水路等の農業水利施設が整備され、農業の生産向上に大きく貢献しています。これらの施設は、古くは昭和30年代に建設されたものもあり、県営事業で造成された施設の中で、建設後50年以上経過する施設は、今後10年間に、ため池や頭首工などの施設が15施設から30施設に、また、農業用用排水路も、67キロメーターから196キロメーターにまで増加してくると見込まれております。これらの施設の老朽化により、機能の低下や損壊による農業生産への影響が懸念されております。本県農業が持続的に発展していくためには、これらの施設を健全に機能維持していくことが大変重要だと思います。今後、農業水利施設の老朽化が進む中、県はどのように対策を講じていくのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 農業水利施設の老朽化対策につきましては、平成21年度から施設の劣化の状況を調査しまして、対策工法を含めた機能保全計画を策定しているところです。その上で、対策工事につきましては、優先度が高く、地元の合意が得られた施設から順次実施している状況です。全ての工事の実施には相当の期間と費用を要しますので、今後とも、国に対しまして、十分な予算の確保を要望しますとともに、関係機関と連携を図りながら、計画的に施設の老朽化対策を進めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) これらの農業水利施設は、土地改良区などにより、適切な維持管理が行われているところですが、施設の老朽化が進むにつれ、今後、農業用パイプラインの破裂や用排水ポンプの緊急停止など、自然災害によらない突発事故の増加も予想されます。この突発事故については、災害復旧事業の対象となっておりません。農家が安心して農業生産活動を継続し、地域住民が安全に暮らしていくためには、素早く対応していくことが必要だと思います。ことし5月に公布された改正土地改良法では、土地改良施設の突発事故への対応について、農業者からの申請によらず、国または地方公共団体が、災害復旧事業と同一の手続で事業を実施できるよう措置されることになったと聞いております。県においては、農業水利施設の突発事故に対して今後どのように対応していくのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 現在、農業水利施設の突発事故が発生しました場合には、一定の手続を要しますために、災害復旧と同様の対策工事が直ちに実施できない状況にございます。そのため、議員が今おっしゃいましたように、今回の土地改良法改正におきまして、農業者からの申請を待たずに、災害復旧と同様に対策工事が実施できるようになることは、施設の早期復旧に大変有効であると考えております。今後、国から法改正に伴う事業の詳細が示される予定でございますので、その情報収集に努め、突発事故の際には速やかに活用できるように対応してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、農業用ため池についてお伺いします。農業用ため池は、営農に欠かせない農業用施設となっており、また、生物の生育の場所、地域への憩いの場の提供など、多面的な機能を有しております。このような中、ことし7月に発生した九州北部豪雨災害においては、山腹崩壊による土砂や木々の流入により、ため池が決壊して、重大な被害が発生する一方で、流れ込んだ土砂や木々がため池内に貯留され、言いかえれば、ため池が砂防ダムの役割を果たしたことにより、下流の住宅等への被害を軽減したとも聞いています。このように、さまざまな機能を有しているため池が県内にも数多く存在しており、改修や補修などの整備が必要であると思いますが、県内に防災上整備が必要な農業用ため池は何カ所あり、また、その整備はどのように進められるのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 県内には、農業用ため池が全部で699カ所ありまして、目視による点検や下流域の調査を実施しましたところ、被害が生じる可能性のあるものが134カ所認められたところであります。そこで、これらを「防災重点ため池」として指定しまして、優先的に整備することといたしました。平成28年度までに27カ所の整備が完了し、現在、15カ所で整備を進めているところであります。今後も、関係市町や施設管理者である土地改良区等と連携を図りながら、計画的にため池の整備を進めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 最近では、雨による災害だけではなくて、地震による災害にも備える必要があると思います。同じように、昨年4月に熊本地震が発生し、多くのため池が被害を受けております。農業用ため池として利用されている貯水量約85万トンの大切畑ダムにおいて堤体の一部に亀裂が発生し、一時的に避難指示が発令されております。本県においても、今後発生が懸念される南海トラフ地震などの大規模地震に備えた耐震化が必要と考えられます。農業用ため池の耐震化をどのように進めていくのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 農業用ため池の耐震化につきましては、「防災重点ため池」での耐震調査を進めているところでございます。平成28年度までに99カ所の調査を実施しましたところ、71カ所で耐震不足との結果が出ております。そこで、この調査結果を踏まえまして、今後、被害の大きいと判断されるため池から、優先的に対策工事を実施していきたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) これからの地震、豪雨災害等を考えますと、農業水利の保全はもとより、災害から人命、財産を守るという観点からも、老朽化する農業水利施設、特に農業用ため池の早急な改善が必要と思われます。整備のスピードを上げていただきたいと思います。 次に、漁業振興・担い手対策についてお伺いします。先日、漁業協同組合に伺った際に、親から独立し、新しく漁船を建造する漁業後継者の話を聞きました。漁業は現在、資源の減少やコストの増大などの厳しい経営環境でありますが、このような意欲のある漁業後継者がいることを心強く思うとともに、このような担い手を大事に育てていく必要があると感じたところであります。しかし、現実に目を向けますと、本県の漁業就業者数の大幅な減少と高齢化の進展により、今後、水産業や漁村の活力低下が危惧され、担い手対策は喫緊の課題となっています。 このような中、担い手対策を重要なプロジェクトの一つとして位置づけ、漁業担い手対策の推進母体となる公益社団法人宮崎県漁村活性化推進機構を平成28年2月に設立し、漁船リース事業等のさまざまな対策を実施していると聞いております。そこで、宮崎県漁村活性化推進機構のこれまでの漁業担い手対策に関する成果と今後の取り組みについて、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 宮崎県漁村活性化推進機構では、平成28年2月の設立以降、漁船リース事業により、漁業担い手の漁船取得経費に係る負担軽減を図るとともに、全国漁業就業支援フェアでの本県漁業のPRや勧誘等も積極的に行ってまいりました。そのような結果、平成28年には55人が新たに漁業に就業し、過去5年平均の41人を上回る成果を上げてきております。また、今後は、担い手受け入れ情報や就業に必要な漁船の情報を提供します漁業就業応援バンクのほか、担い手の操業準備に係る経費の支援や、経営のフォローアップを通じまして、新規参入から定着までのきめ細やかな担い手対策に取り組んでいくと伺っております。県といたしましても、関係機関と連携しながら、引き続き、漁村活性化推進機構の支援を行いまして、積極的に担い手対策を推進してまいります。 ◆(松村悟郎議員) 本県では、毎年9月からイセエビ漁が解禁となります。宮崎県は、全国有数のイセエビの産地であるとともに、単価も高く、沿岸漁業者の重要な漁業資源となっています。しかし、毎年度県が公表しているイセエビの資源状況の評価結果では、近年の資源水準は低位となっており、資源の回復が順調に進んでいない状況にあります。資源の減少にはさまざまな要因があると思いますが、イセエビの生育環境に重要な藻場の減少が大きいのではと考えております。藻場は、イセエビのみならず、多くの水産資源の生育に欠かせないものですが、本県の藻場の面積は、昭和50年代と比較すると半分以下というデータもあります。そこで、沿岸資源をふやすために重要な藻場の造成が必要です。今後どのように取り組んでいくのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大坪篤史君) 多くの水産生物の生育の場である藻場を拡大することは、水産資源を回復させるために重要な方法の一つであると認識しています。これまでの研究成果から、藻場は、魚やウニの食害を受けにくい冬場の水温が低いところや、砂地に囲まれた岩礁に形成されるということがわかっておりまして、こういった条件を満たす海域に、人工的に藻場を拡大していくことが有効と考えております。このため県では、平成29年度から33年度までの「宮崎県水産環境整備事業基本計画」におきまして、藻場造成事業を実施することにしておりまして、今年度はその適地調査を行っているところでございます。今後は、この調査結果に基づき、順次事業化を進め、藻場の回復に努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、美しい宮崎づくりについてお伺いします。本年4月に「美しい宮崎づくり推進条例」が施行されました。本県には、緑豊かな山々、南国情緒あふれる海岸線などの自然景観や、私の地元高鍋町染ヶ岡地区のヒマワリ畑のような、地域の人々の営みとともに育まれた農村風景など、全国に誇るべき美しい景観が県内各地にあります。私は、このような地域固有の景観を生かした魅力ある地域づくりを進めることは、今後、本県で開催される国民文化祭や国民体育大会にお越しになる方々へのおもてなしや、地方創生といった観点からも、大変重要ではと考えております。現在、県では、条例に基づく施策を総合的に実施するための推進計画を策定中とお聞きしておりますが、どのようなところに力を注いでいくのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 美しい宮崎づくりを進めるに当たりましては、県内各地の魅力ある景観を「県民共有の財産」として守っていくこと、つくり出していくこと、そして活用していくこと、こうした取り組みを、県民一人一人の力を合わせて進めていくことが大変重要であると考えております。このため、現在策定中の推進計画におきましては、今後、特に力を入れて取り組むべき3つの重点施策としまして、1つ目は、「景観による地域のブランド力の向上」、2つ目は、「景観を生かしたおもてなし」、3つ目は、「宮崎を美しくする人づくり」を掲げているところであります。具体的には、世界農業遺産などのブランドを生かした地域の活性化でありますとか、国民文化祭や国民体育大会などの開催を見据えた観光地や沿道における景観の磨き上げ、さらには、将来を担う子供たちに対する啓発や専門家の育成などにも取り組んでまいりたいと考えております。今後とも、県民や事業者の皆様と一体となって、愛着と誇りの持てる美しい宮崎づくりに取り組んでまいります。 ◆(松村悟郎議員) 現在策定中の「美しい宮崎づくり推進計画」におきましては、「景観を生かしたおもてなし」が重点施策の一つとして掲げられております。その中でも、観光地につながる道路においては、景観の磨き上げなど、本県が全国に先駆けて推し進めてきた沿道修景美化の取り組みは、柱と言うべき重要な施策になると思います。予算も限られているのはわかりますが、最近では、沿道の草刈りなどが十分に行われていないところも見受けられ、県民や観光客の皆様も残念に思われているのではないかと心配をしています。そこで、美しい宮崎づくりの柱として、沿道の草刈りなど、沿道修景美化に取り組んでいく必要があると思いますが、どのように進めていくのか、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 本県ではこれまで、「沿道修景美化条例」のもと、良好な道路環境の創出と保全に努めてまいりましたが、近年、樹木の高木化や老木化などのさまざまな課題が発生しております。この課題に対応するため、ことし3月に策定した「沿道修景美化基本計画」に基づき、植栽のリニューアルやめり張りのある維持管理などについて、現在、具体的な検討を進めているところであります。その中で、沿道の草刈りにつきましては、良好な景観を持続させるために、路線ごとの回数の見直しや効果的な除草方法について、専門家の意見も伺いながら検討を行っているところであります。今後とも、「美しい宮崎づくり」の重要な柱の一つとして、質の高い沿道修景美化の実現に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、毎回質問しておりますけれども、一ツ葉有料道路の景観についてお伺いします。この道路は、高鍋から宮崎港や宮崎空港といった主要な物流拠点を結ぶ重要な道路であり、海岸線の風景と相まって、他に類を見ない美しい道路であると感じております。また、県外から宮崎を訪れた方々の評判も大変高く、本県の観光資源として大切な財産であると思っています。現在、この道路の維持管理費用は料金収入で賄われており、料金徴収の期限が平成32年2月までで、その後は無料開放され、県で管理していく予定と聞いています。そのため、無料開放後においても従来どおりの美しい景観を保てるのか、不安を感じています。そこで、無料開放後の一ツ葉有料道路の景観保全についてどのように取り組むのか、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) お話にありましたように、一ツ葉有料道路は、美しい海岸線や松林の風景の中を通過し、沿道のワシントニアパームの並木など、宮崎ならではの南国情緒が感じられる道路であり、多くの方々に利用いただいておりますことから、本路線の景観を保全することは大変重要であると考えております。このため、道路公社と県におきまして、「沿道修景美化基本計画」に基づき、美しい景観を保全するための検討を進めているところであり、植栽のリニューアルやめり張りのある維持管理などの取り組みを、無料開放に向けて実施してまいります。今後とも、一ツ葉有料道路の景観保全に、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、空き家対策についてお伺いします。空き家対策につきましては、平成27年5月に空家等対策特別措置法が施行され、本県においても、その対策に鋭意取り組まれているところと思います。先日、東京都世田谷区が、著しく管理不十分な空き家で所有者が不明なものを、都内で初めて、民法の仕組みを用いて解体したという新聞報道がありました。著しく管理が不十分な空き家は、地域住民にとっては迷惑なものであり、その対策は、防災やまちづくりの両面で重要なものであります。空き家対策の一例として、世田谷区の事例を紹介しましたが、まずは空き家の実態を把握し、危険な空き家については撤去していくことが必要だと考えます。そこで、管理が不十分な空き家に対する本県の取り組み状況について、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 空き家対策につきましては、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、住民に最も身近な行政主体である市町村が、必要な措置を講じることとされております。市町村の取り組み状況につきましては、まずは、所有者の特定や建物の状況などの実態調査が必要であり、現在、17の市町村が実施済みで、残る市町村も、今年度以降の実施予定であります。また、著しく管理が不十分で倒壊のおそれがあるなど、防災や衛生面から地域の生活環境に悪影響を与える「特定空家」に対しましては、これまで3つの市町において、法に基づく助言・指導や勧告を行っており、これにより撤去された空き家も出てきております。県といたしましては、空き家対策の促進に向け、引き続き、「市町村空家連絡調整会議」等を通じて、市町村に対し、先進的な事例などの情報提供や助言を行ってまいります。 ◆(松村悟郎議員) 次に、鋼橋の再塗装についてお伺いします。高度経済成長期に建設された道路橋等の社会資本については、建設後50年以上が経過するものなど、急速に老朽化が進んでいます。中でも、鋼鉄でつくられた橋、いわゆる鋼橋については、塗装の塗りかえなど、適切な維持管理を行うことが必要であります。そのような中、平成26年4月に、首都高速道路の工事において、作業員が塗膜くずに含まれる有害物質である鉛を吸い込んだことにより、健康障害を引き起こした事例が発生しました。これを受けて、厚生労働省から、「鉛等有害物を含有する塗料の剥離やかき落とし作業における労働者の健康障害防止」に関する通知が出され、剥離作業の方法、作業員の有効な保護具の着用、外部への拡散防止措置などの安全対策が強化されております。このように、作業員の健康障害や周辺環境への影響に配慮した安全対策は重要だと考えておりますが、これらの対策には従来よりも経費が必要となるため、その分、工事費が増大し、事業の進捗におくれが生じるのではないかと危惧しているところです。そこで、厚生労働省の通知を受け、鋼橋の塗装塗りかえについて県はどのように取り組むのか、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(東憲之介君) 厚生労働省の通知を受けまして、本県では、工事着手前の有害物質の確認や、施工中の安全対策などを定めた県独自の指針を全国に先駆けて策定し、昨年度から運用しているところであります。このことにより、これまで以上の安全対策が必要となるため、経費がふえることとなりますが、塗装の塗りかえは、鋼橋を健全な状態に保つために必要な工事であると考えております。県といたしましては、現在、国が進めている塗装塗りかえの安全性確保や経済性向上につながる技術開発の動向を注視しながら、引き続き、鋼橋の維持管理に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 鋼橋塗装の塗りかえについては、全国に先駆けて策定した県独自指針に基づいた安全対策をとった施工がなされた現場があると伺っています。作業員や周辺住民への影響を考えた積極的な取り組みだと、大いに評価されていると思います。これには、日ごろからの研修による知見の積み重ねや、同様に橋梁を抱える市町村に対しての啓発、さらには安全施工技術の向上に努力された宮崎県鋼橋コンクリート構造物塗装協同組合の活動、これも大きな力となっております。この活動は、全国と比較しても特異な取り組みであります。このような技術力を持つ県内業者に、ぜひとも安全施工を任せたいものだと感じたところでありました。 次に、教育現場の長時間労働解消についてお伺いします。文部科学省が4月に公表した「平成28年度教員勤務実態調査結果」によりますと、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が、週60時間以上の勤務を行っているとのことであります。これを民間企業の週40時間勤務に当てはめた場合、1カ月の超過勤務は、単純計算で月当たり80時間以上、いわゆる過労死ラインに達することとなり、学校現場における働き方改革は喫緊の課題であります。先日開催されました宮崎県総合教育会議においても、知事と教育長、教育委員が、学校業務の効率化や教職員の多忙化解消について意見を交わされたところでありますが、学校現場の長時間労働解消に向けてどのように取り組まれるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(四本孝君) 県教育委員会では、「教職員の働きやすい環境づくりプログラム」に基づきまして、調査・提出書類の削減やスクールソーシャルワーカーの増員などにより、教職員の負担軽減を図っているところであります。一方で、学校現場における業務の効率化には、管理職の強いリーダーシップが不可欠でありますことから、私からも小・中・高の校長等に対して、機会あるごとに、行事・会議等の精選や部活動の休養日の設定など、多忙化解消の取り組みを強く訴えているところであります。また、管理職が教職員の勤務実態を正確に把握するために、県立学校におきまして、今月から出退勤時刻の記録を始めたところであり、今後、市町村教育委員会にもこの取り組みを促してまいります。先般、文部科学省が中央教育審議会に、学校における働き方改革に関する総合的な方策について諮問を行いましたことから、その動向も注視しながら、教職員が児童生徒に向き合い、本来の教育活動に専念できる環境づくりに、引き続き全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、発達障がい等のある生徒の進学機会確保についてお伺いします。先日、宮崎市で開催された「発達障がいのある方の幸せを考える」という講演会に参加しました。講演を聞いて、小学校、中学校においては、特別支援学級や通級指導教室を中心に、発達障がい等のある児童生徒への指導支援の連携がとられているということがわかりました。一方で、高校においては、発達障がい等のある生徒が入試で不利益をこうむることのないよう配慮がなされているのか、また、入学できたとしても、通級による指導等の支援がないため、安心して学校生活を送ることができるのか、そのようなことが不安になりました。保護者は、子供に高校でさまざまな経験をする機会を与えてもらいたいと願っています。私も、ぜひこのような機会を確保してあげたいと考えます。そこで、発達障がい等のある生徒に対する高等学校入試や入学後の対応状況について、教育長にお伺いします。 ◎教育長(四本孝君) 発達障がいなど、特別な配慮を要する生徒の高等学校入学者選抜検査につきましては、障がいの状況に応じて受検できるよう、事前に在籍する中学校と十分に連携を図り、例えば、別室での受検や検査時間の延長など、一人一人に応じた配慮を行い、実施しているところであります。また、入学後につきましては、対象生徒が学校生活で困ることがないように、校内支援体制や指導方法等について、各学校への助言や研修等に努めているところであります。さらに、平成30年度からは、高等学校における通級による指導が制度化されますことから、本県においても実施に向けて準備を進めているところであり、個々の生徒の障がいの状態に応じた指導が、生徒の自立と社会参加に向けたさらなる支援につながるものと期待をしております。今後とも、高等学校における特別支援教育の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 私立高校にも、日章学園の共生コースを初め、都城高校や日南学園に専門のコースがあると伺っております。県立高校においても、一歩進んだ取り組みがなされるとのことですので、私立高校とも連携して、発達障がい等のある生徒の進学機会の確保に努めていただきたいと思います。 次に、減少する街の書店の現状についてお伺いします。本年8月24日付の朝日新聞の記事によると、全国の書店の数は、2000年当時に比べて約4割減少したとのことであります。近年の人口減少や活字離れに加え、インターネット通販やコンビニエンスストアでの取り扱いなど、街の書店で本が購入される機会が減ってきており、県内においても、本年7月現在で、書店のない市町村が8カ所もあるとの内容であります。街の書店は、地域の雇用を支える場の一つであり、他の商店とともに、これまで地域経済や商店街を支えてきたと考えております。地域経済の担い手である街の書店の現状について、県としてどのように考えているのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(中田哲朗君) 宮崎県書店商業組合によりますと、県内の古本業を除いた書店の数は、本年9月1日現在で52店舗となっており、議員御指摘のとおり、インターネット販売の拡大や大型書店の進出等により、近年、減少が続いております。このように、街の書店を初め、地域の商業者を取り巻く環境は厳しい状況にありますが、それぞれ雇用など地域経済を支える大きな役割も担っておりますことから、県といたしましては、引き続き、市町村等としっかりと連携し、地域商業の維持・充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 次に、公立図書館の図書の購入についてであります。厳しい財政状況の中、図書購入の予算は減少傾向にあると聞いています。また、これまで書店は、公立図書館への納品など、地域に貢献してきていると思われますが、近年、公立図書館では、図書の購入を県外の業者から直接購入する場合があると聞いております。そこで、県立図書館及び市町村立図書館の図書購入の実績と購入先の状況について、教育長にお伺いします。 ◎教育長(四本孝君) 県立図書館における図書購入等の予算額でございますが、ここ数年は4,100万円台で推移しておりますけれども、5年前と比較すると減少傾向にあります。また、受け入れ冊数は年によって増減がありますが、昨年度は約1万7,000冊となっております。市町村における公立図書館と公民館図書室の図書購入等の予算額の合計は、宮崎県公共図書館連絡協議会のまとめによりますと、ここ数年は約1億5,000万円台で推移しており、5年前と比較すると減少傾向にあります。また、受け入れ冊数の合計は、年によって増減がありますが、昨年度は約12万7,000冊となっております。 次に、図書の購入先につきましては、県立図書館は主に県内の書店から購入しております。また、調査を行いました市町村立図書館では、全31館のうち約半数が主に県内から購入しており、残りは主に県外から購入しております。 ◆(松村悟郎議員) 約半数の図書館が県外業者から購入しているとのことですが、私の聞いたところによると、県外の業者は、ラベルやカバーをつけるなど、県内書店には提供が難しいサービスも行っているようです。そのサービスに頼るところが大きくなり、地域の状況に合わせて本を選んだり、整理したりするなどのノウハウが県内の図書館からなくなるのではないかと心配する声も聞かれます。加えて、地域の書店が減少することは、少なからず「日本一の読書県」の取り組みにも影響を与えるのではないかと考えます。そこで、「日本一の読書県」を目指す宮崎県として、現在の状況についての認識、今後の取り組みについて、教育長にお伺いします。 ◎教育長(四本孝君) 県内の書店数が全体的に減少している現状につきましては、本県の文化振興の観点からも、また、「日本一の読書県」を進める上からも残念に思っているところであります。このような状況の中ではありますが、県教育委員会といたしましては、現在、商店街において高校生による読書のイベントを行うなど、県民の本に親しむ機運の醸成を図る取り組みを行っております。今後もこのような取り組みを推進するとともに、県立図書館を中心に、市町村立図書館と連携を図りながら、図書館職員の資質向上を図るための研修を充実させるなど、「日本一の読書県」を目指した取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 読書日本一を目指す本県ですが、読書が好きですと回答した中学生の割合が、全国平均以下という学習状況調査の結果が出ています。街の書店は、地域文化を育む大事なアイテムの一つであり、子供や中高生にとっては、実際に本に触れることができる読書の入り口であります。また、県内公立図書館は、図書購入予算は減少傾向にあるものの、書籍の宝庫であります。地元の書店から図書を購入することは、「地元でできることは地元でやる」という地方創生の基本中の基本であり、地域内経済循環に貢献することにもなります。公立図書館運営の県外への業務委託は、地域に合った図書の選択や独自の図書館運営、図書業務ノウハウなどの図書文化を地域からなくしてしまう一因にもなります。読書日本一を目指す宮崎県として、街の書店の存在意義と図書館の運営のあり方等について、しっかり考慮いただきたいと思います。 次に、「西都原古墳群をはじめとする南九州の古墳群」の世界文化遺産登録についてであります。去る7月31日に国の文化審議会は、平成31年の世界文化遺産登録に向けて、大阪府の「百舌鳥・古市古墳群」をユネスコに推薦することを決定したとの報道がありました。この「百舌鳥・古市古墳群」が登録されますと、時代を共通とする南九州の古墳群の登録に向けての取り組みは厳しい状況になるのではないかと、地元でも心配する声があります。そこで、今後、県として、世界文化遺産登録に向け、どのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 世界文化遺産登録のためには、まず、国内の暫定リストに掲載される必要があります。これまで、調査研究やシンポジウムなどでの情報発信など、さまざまな取り組みを行ってきたところであります。今回、暫定リストの中から世界文化遺産への推薦が決定しました「百舌鳥・古市古墳群」は、本県の「西都原古墳群をはじめとする南九州の古墳群」と古墳の形やつくられた時期など共通する部分が多いことから、この評価や審査など、今後の動きというものを注視してまいりたいと考えております。県といたしましては、まずは、「西都原古墳群をはじめとする南九州の古墳群」の国内暫定リストへの掲載を目指し、その歴史的景観や墓制の独自性―その形や仕組みの特徴ということでありますが―が評価されるよう、関係機関と連携しながら取り組みを継続してまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 南九州の古墳群の象徴とも言える男狭穂塚・女狭穂塚について、今後の世界文化遺産登録を目指す上で、さらなる魅力向上のために、古墳本来の姿や大きさを感じられるような環境整備を行う必要があると考えます。そこで、男狭穂塚・女狭穂塚の環境整備について今後どのように考えているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(四本孝君) 男狭穂塚・女狭穂塚の環境整備でありますが、その敷地内については宮内庁、周辺部を県が行うことになります。現在、県教育委員会では、男狭穂塚・女狭穂塚に隣接する西側の約1万9,000平方メートルを対象に、地中レーダーによる調査などを進めているところでございます。今後、その調査成果に基づきまして、国の史跡指定地の拡大に向けた取り組みや、遊歩道の設置などの整備を行ってまいりたいと考えております。こうした中で、先月8月1日に私が宮内庁を訪問いたしまして、今後県が実施する整備の予定などを説明し、国と県が一体となった環境整備のお願いをしてまいりました。今後とも、宮内庁と密接に連携をとりながら、男狭穂塚・女狭穂塚の魅力が高まるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆(松村悟郎議員) 世界遺産登録に向けて、よろしくお願いしておきます。 次に、交通事故防止対策についてお伺いします。 新聞報道によりますと、日本自動車連盟と警察が実施したチャイルドシートの使用状況に関する調査の結果、本県の使用率は、全国平均を大きく下回るなど、低調であるとのことであります。チャイルドシートを使用しなかった場合、死亡や重傷につながる確率は3倍に高まるとのことであり、実際に県内でも、チャイルドシートを使用しなかったために死亡事故になった事例や、逆に正しく使用していたために、重大事故にもかかわらず無傷で済んだ事例もあると聞いております。そこで、本県におけるチャイルドシートの使用率とその向上に向けた取り組みについて、警察本部長にお伺いします。 ◎警察本部長(郷治知道君) 本県のチャイルドシートの使用率につきましては、本年4月の調査結果では55.9%で、全国平均の64.1%を8.2ポイント下回る、全国38位でありました。過去2年の本県のチャイルドシートの使用率を見てみますと、平成27年が67.8%、平成28年が62.8%と、2年連続で使用率が低下しております。その向上に向けた取り組みにつきましては、幼稚園等を訪問し、保護者の方々に対して事故の事例を挙げながら、その必要性と正しい取りつけ方の講習を行ったり、ポスター等を産婦人科や小児科へ配付するなど、広報啓発に取り組んでいるところであります。また、毎月10日と30日を全席シートベルト・チャイルドシート着用推進の日に指定し、その周知を図るとともに、指導取り締まりを強化しております。今後とも、子供たちの大切な命を守るため、指導取り締まりを行うとともに、関係機関等と連携して広報啓発に努め、チャイルドシートの使用徹底を図ってまいりたいと思います。 ◆(松村悟郎議員) チャイルドシートは、日本の将来を担う大事な子供たちの命を守ります。どうぞこれからもよろしくお願い申し上げます。 最後の質問になります。運転免許自主返納についてお伺いします。全国的に高齢化社会がますます進展している中、高齢者が、交通事故の被害者だけではなく加害者になるケースがふえております。高齢ドライバーによる交通事故の防止が大きくクローズアップされています。そのような中で、先日、宮崎県内において、運転免許の自主返納件数が大幅に増加しているとの報道がありました。自主返納が増加している理由については、高齢ドライバーの交通事故の増加や、本年3月に改正道路交通法が施行され、75歳以上の免許更新手続が変わったことなどが背景にあるのではないかとの分析があります。本県における最近の自主返納の状況と、8月から導入された代理人による返納制度の内容について、警察本部長にお伺いします。 ◎警察本部長(郷治知道君) 昨年の運転免許自主返納者につきましては、2,990人で、そのうち65歳以上の方が97%の2,907人でありました。これは、10年前である平成19年の33倍になり、大きく増加している状況です。また、本年1月から8月末までの返納者につきましても、2,558人と昨年を上回るペースで推移しております。 次に、運転免許の代理返納制度ですが、これまで自主返納は、返納者本人が直接、免許センターや警察署に出向く必要がありました。そこで、本年8月から、病気などの理由で自主返納手続が困難な65歳以上の方を対象に、返納者本人にかわって、その家族や介護施設の管理者が代理返納できるよう、制度の充実を図ったところです。警察としましては、今後も本制度の周知に努め、この制度をきっかけに、自主返納への理解が深まり、高齢者の交通事故防止につながることを期待しております。 ◆(松村悟郎議員) 県議会自由民主党の代表質問2人目として、50問質問させていただきました。誠意ある御答弁、ありがとうございました。この中でも、キヤノンの高鍋町への立地は、とても大きな関心事であったのではないかと思います。キヤノン、日機装などの大型投資を伴うグローバル企業の立地が相次いで決まったことは、雇用だけでなく、それぞれの地域経済にも大きな効果をもたらすものと思います。これからも県外からの企業立地を期待しております。また、これ以外のものも、それぞれ県勢の発展、県民の福祉向上のために重要な課題であります。県に対する県民の期待も大変大きいものがあります。知事を初め、県執行部の皆様には積極的なお取り組みをお願いし、私の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(蓬原正三) 以上で本日の質問は終わりました。──────────────────── ○議長(蓬原正三) ここで、今回提案されました議案のうち、議案第10号を日程に追加し、議題とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(蓬原正三) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 議案第10号を議題といたします。 質疑の通告はありません。──────────────────── △議案第10号委員会付託 ○議長(蓬原正三) 議案第10号については、お手元に配付の付託表のとおり、総務政策常任委員会に付託いたします。 ここで、議案第10号に係る委員会審査のため、暫時休憩いたします。   午後2時57分休憩────────────────────   午後3時23分開議 △常任委員長審査結果報告(議案第10号) ○議長(蓬原正三) 休憩前に引き続き会議を開きます。 ここで、総務政策常任委員長の審査結果報告を求めます。総務政策常任委員会、二見康之委員長。 ◆(二見康之議員) 〔登壇〕 御報告いたします。 今回、当委員会に付託を受けました案件は、議案第10号「平成29年度宮崎県一般会計補正予算(第3号)」であります。 これは、宮崎県議会串間市選挙区におきまして、議員辞職により欠員が生じたことに伴い、補欠選挙を執行するための経費を措置するもので、2,600万円余の増額補正となっており、歳入財源は繰入金であります。 その主な内訳は、串間市に交付する選挙経費や、候補者のポスター作成費などの公営負担に要する経費であります。 審査の結果、全会一致で原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。 以上をもって、当委員会の報告を終わります。(拍手)〔降壇〕 ○議長(蓬原正三) 総務政策常任委員長の審査結果報告は終わりました。 質疑及び討論の通告はありません。──────────────────── △議案第10号採決 ○議長(蓬原正三) これより採決に入ります。 議案第10号についてお諮りいたします。 本案に対する委員長の審査結果報告は可決であります。委員長の報告のとおり決することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(蓬原正三) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長の報告のとおり可決されました。 あすの本会議は、午前10時から、本日に引き続き代表質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後3時25分散会...